東証プライム全社のうち、社食がある企業は35%
得られた結果は以下のようなものである。1. 東証プライム企業における社食設置の状況
東証プライム全社のうち、社食がある企業は35%を占めている。さらに、業種(GICSセクター)によって、社食を設置している企業の割合は異なる。いずれも50%を超えていない。比較的、割合が高い業種は不動産業、公益事業とコミュニケーション・サービス業。一方、金融業とエネルギー業は割合が低い。
2. 社食の設置有無における企業の特徴
社食を設置している会社は、設置していない企業と比較すると、企業規模がより大きい。また、財務の収益性や従業員評価も優れている。ガバナンスの多様性及び透明性が高い傾向にある。*ただし、T検定(母集団が正規分布に従うと仮定するパラメトリック検定法)により、統計上の差が真に存在する可能性は指標によって異なっている。
3. 業種別で、企業特徴に明確な差が!
さらに、業種別(GICSセクター)によって企業特徴が明確に異なることがわかった。エネルギー: 企業規模においては、社食がある企業は必ずしも従業員数が多いわけではない。従業員評価は平均より劣るため、社食設置の有無による従業員満足度への影響は限られている。労働生産性においては、社食を設置している会社の方が優れている。
素材: 社食を設置している企業は、企業規模が平均より大きい傾向にある。売上高と時価総額が高い。財務においては、社食を設置している企業は平均的に収益性が良い。また、従業員評価、一人当たりの人件費、労働生産性は高い。ガバナンスの多様性及び透明性に関しては差が限定的。
資本財・サービス: 社食を設置している企業は、設置していない企業と比べると、時価総額の平均値は近いが、売上高と従業員数は上回っている。従業員評価に関しては基本的に優れており、人件費と労働生産性は高い。財務の収益性においては差が限定的。
一般消費財・サービス業: 社食を設置している企業は企業規模が大きい。従業員評価と労働生産性が優れている。
生活必需品: 社食を設置している企業は設置していない企業と比較すると売上高と時価総額は高いが、従業員数の差は大きくない。従業員評価は概ね高い。一人当たりの人件費は高いが、労働生産性は優れているとは言えない。
ヘルスケア: 社食を設置している企業は設置していない企業と比べると売上高が高いが、時価総額と従業員数は大差ない。従業員評価は概ね高いが、ガバナンスの方は優れているとは言えない。一人当たりの人件費は高いが、労働生産性は優れているとは言えない。
金融: 社食を設置している会社の方は企業規模全般が大きい。従業員評価に関しては、社食を設置している企業の方は全般的に優れている。人件費は高いが、労働生産性は高いとは言えない。
情報技術: 企業規模に関しては、指標によって状況が違う。社食を設置していない企業より、設置している企業の方が収益性は高い。ガバナンスの方は著しい差が見えない。一人当たりの人件費と労働生産性に関しては社食を設置している企業の方が高い。
コミュニケーション・サービス: 企業規模に関しては、社食を設置している企業の方が大きい。そして財務の収益性も遥かに高い。従業員評価とガバナンスに関しては、指標によって優劣が変わる。一人当たりの人件費と労働生産性は社食を設置していない企業の方が高い。