経営・戦略

2023.07.14 08:30

「社食がある企業」は強い? あるなしで労働生産性は変わるのか

公益事業: 社食を設置していない企業と比べると、設置している企業の方が時価総額が高く、従業員数が多い。従業員評価に関しては指標ごとにバラつきはあるが、総じて大きな差はない。一人当たりの人件費と労働生産性は、社食を設置していない企業の方が高い

不動産業: 社食を設置している企業の方が、企業規模が大きい。従業員評価は全般的にやや優れている。一人当たりの人件費は設置していない企業の方が高い。労働生産性においては大きな差がない。

4. 社食関連注目企業ランキング

収集データに基づき、財務パフォーマンスや従業員満足度が高く、かつ社員食堂に力を入れている企業ランキングを作成した。ランキングの作成には以下の指標を使い、各指標の重みには100%を指標数に割って設定している。

ROE(自己資本利益率): 各社が開示している数値に基づき偏差値に換算。

従業員満足度: 第三者サイトから収集されたオルタナティブデータに基づき作成。偏差値に換算。

統合報告書における社食関連キーワード数: 統合報告書やアニュアルレポート等、各社の開示資料より社食関連キーワードを検索し、関連単語の量を評価。

ニュースにおける社食関連キーワード数: 統合報告書やアニュアルレポート等、各社の開示資料よりボランティア関連キーワードを検索し、関連単語の量を評価。

社食関連の記事記載有無: 社食専門サイトから社食関連の記事を検索し、企業名を特定。

求人情報における社食関連の情報の掲載有無: 複数の求人サイトから社食関連キーワードを検索し、企業名を特定

社食関連のアワード・大賞・表彰の受賞有無: 大手メディア・ニュースサイト、省庁サイトなどで社食関連のアワード・大賞・表彰を検索し、企業名を特定。

*スコープが包括的であり、具体的に社食だけでなく、食育活動、栄養、健康づくり等のワードも含む。

以上、調査データと考察について、読者諸氏にお役立ていただければ幸いである。

働き手へのもてなし。ウェルビーイングを支える「場」に: Forbes JAPAN Web編集長 谷本有香




今回も大変興味深い結果が得られた。

「社食」という従業員へのもてなしが、社員のやる気やエンゲージメント、更には業績に相関があるのか。

答えは想像、仮説に即するものだけでなく、サステナブル・ラボ特有の洞察が加えられ、含蓄に富む内容であった。

企業が社食を通じて従業員に提供したいのは、ただ腹を満たすだけの「食」だけでは勿論ないだろう。そこには、食を通じて得られる健康や、満足感。同僚との憩いや自身のリフレッシュの時間も入ってくるはずだ。

そしてそれは、時代に応じて、その役割や求められる要素も変わってくるだろう。

恐らく将来、個人的なデータとともに、食や食べ方がリコメンドされたり、その結果が継続的に図られ、効率的かつ効果的に、従業員のウェルビーイングを支える──、そんな場所に社食はなるかもしれない。



サステナブル・ラボ◎AIとビッグデータを活用し、企業のESG/SDGs貢献度を可視化する非財務データバンク「TERRAST」「TERRAST for Enterprise」を開発・提供する。日経クロストレンド「未来の市場をつくる100社」、Forbes JAPAN「日本の起業家ランキングみずほ賞」(ともに2023年版)に選出された。

サステナブル・ラボ (編集=石井節子)

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