そういうわけで、うさぎ座の中にある約87光年離れた太陽類似星を周回する木星に似た惑星を撮影したことは大きな出来事だ。
新たな技法
ハワイ島マウナケア山にあるケックII望遠鏡を利用する天文学者チームは、これまでに撮影された最小質量の惑星の1つであるうさぎ座AF星b(AF Lep b)を発見し、その軌道が太陽系の木星と似ていることを確認した。うさぎ座AF星bは、質量が木星の約3倍で、若い太陽類似星であるうさぎ座AF星(AF Leporis)を周回している。Astrophysical Journal Lettersに掲載された研究で、チームはアストロメトリ法(astrometry)と呼ばれる新しい技法を使ってその惑星を発見した。中心星のかすかな動きを何年にもわたって測定し、周回する惑星の引力を検出するものだ。
移動する標的
チームがうさぎ座AF星に的を絞ったのは、この星がヒッパルコス衛星とガイア衛星による25年間にわたる観測中に移動したと見られたからだ。それは、うさぎ座AF星bが、中心星より1万倍もかすかで、中心星からの距離は地球・太陽間の約8倍であるにもかかわらず起きたことだった。「これは、若い太陽類似星を周回する巨大惑星を見つけるためにこの手法が使われた初めての例です」と論文主著者でテキサス大学オースチン校天文学准教授のBrendan Bowlerはいう。「系外惑星の発見にこのアプローチを使用する新たな道を開くものです」
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
この新たな技法は、天文学者が低質量系外惑星やはるか彼方の恒星を周回する系外惑星、さらには望遠鏡がエッジオン・ビュー(真横からの視界)を得られない系外惑星を発見、撮影する助けになることが期待されている。「これはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡や巨大マゼラン望遠鏡、30メートル望遠鏡といった次世代地上望遠鏡を使ってさらに特性を調べるための理想的な目標になるでしょう」とBowlerはいう。「すでに私たちは、この惑星の物理的性質と大気化学を研究するために、長い波長を使ったより高感度の追加研究を計画しています」
(forbes.com 原文)