宇宙

2023.06.26 15:30

スーパー「バック」ムーンが昇り、金星が火星と出会う今週の夜空

「バック・ムーン(牡鹿月)」と呼ばれているスーパームーン。コペンハーゲンの北15kmの村、トーベクで草を食む鹿たちと。2022年7月14日(Sergei Gapon/Anadolu Agency via Getty Images)

「バック・ムーン(牡鹿月)」と呼ばれているスーパームーン。コペンハーゲンの北15kmの村、トーベクで草を食む鹿たちと。2022年7月14日(Sergei Gapon/Anadolu Agency via Getty Images)

今週の主役は満月、それも2023年最初のスーパームーンだが、他にも夜空ではたくさんのことが起きる。ハイライトは金星と火星が今年一番の最接近を見せること、そして6月下旬は、遠くの空にある最も神秘的で壮観な天体、球状星団を見る絶好の機会でもある。 

月齢7の上弦の月(NASA)
月齢7の上弦の月(NASA)

6月26日・月曜日:上弦

今日は上弦の月(First Quarter Moon)、地球から見る月が半分輝いて見えるときだ。同時に、夜空が明るく照らされ、星を見るのがより難しく、少し残念になり始める時でもある。今週は暗闇を目指して出かけないほうがよい、満月がやってくる。

6月27日・火曜日:月とスピカ

今夜、満ちていく凸月(半月と満月の間)が、おとめ座で最も明るい恒星スピカと接近する。スピカは地球から250光年離れている。

7月1日・土曜日:月とアンタレス

輝面比94%の月がさそり座で最も明るい星、赤色超巨星のアンタレスとともに東の空から昇ってくる。両者は一晩中接近したまま未明には南西へといっしょに沈んでいく。アンタレスの名前は「火星のライバル」という意味で、それは火星が約2年(687地球日)ごとにアンタレスの近くにやってきて、赤い星同士が競うように見えるからだ。ベテルギウスと同じく、アンタレスはいつでも超新星になりうる。

7月1日・土曜日:火星と金星が大接近

同じく太陽を周回している地球から夜空に見える他の惑星たちは、毎週、毎月、徐々に昇っていき、あるいは沈んでいくように見える。2023年、金星が昇っていくのに対して、火星は太陽の眩しさに向かって沈んでいく。火星と金星は必然的に出会う、そうだろうか? 実はそうではない。内惑星で地球より太陽に近い金星は、確かに昇ってはいるが、それはある程度までだ。今夜、金星は沈みゆく火星と約5度の距離まで接近し、どちらの惑星も衰えながら太陽に向かっていく。

7月3日・月曜日:スーパー「バック」ムーンを見よう

今年北半球の夏で初めての満月「バックムーン(牡鹿月)」はこの日の20時39分に満月の瞬間を迎える。今年4回あるうち最初のスーパームーン(ただし地球からの距離は一番遠く36万1934km)を月の出(東京では19時14分)に見ることができれば最高だ。

球状星団m12(ESA/Hubble & NASA)
球状星団m12(ESA/Hubble & NASA)

今週の天体:球状星団M10とM12

2つの球状星団は、黄道十二星座に入らなかった13番目の星座、へびつかい座の中にある。6月に10x50の双眼鏡か望遠鏡で見るとすばらしい光景が楽しめる。M10とM12(同じ視野内で見られる)はいずれも、古代の星が密集した星団で、天の川に約150個ある星団の中の2つだ。M10は約1万4300光年、M12は約1万6400光年の距離にある。

星を見るためのヒント:そらし目

星を見る時、もっとよく見たいと思って凝視したくなるだろう。しかし、じっと見つめると物はよく見えるようにはなるが、明るさを感じる能力は実は周辺視野の方が高い。何百万光年も離れた天体を見るときは、明るさの方が重要だ。そのためプレアデス星団(すばる)やプレセペ星団、あるいはこの時期に見られる球状星団を見るときは、真っ直ぐ見つめるのではなく、視野の周辺で見た方が、そのぼんやりとしたはるか遠くの斑点に魅了されることだろう。これは「そらし目(averted vision)」と呼ばれる、アマチュア天文家にとって必須の技術だ。

各地の日の出/日の入り、月の出/月の入りの正確な時刻については、気象庁のウェブこちらのサイトなどを参照してほしい。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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