宇宙

2023.06.26 14:30

水星の精細なクローズアップ画像、日欧共同の探査機が撮影

日欧共同の国際水星探査計画「BepiColombo(ベピコロンボ)」の探査機が、2023年6月19日に行った3回目の水星フライバイで撮影した画像3枚(ESA/BEPICOLOMBO/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO)

日欧共同の国際水星探査計画「BepiColombo(ベピコロンボ)」の探査機が、2023年6月19日に行った3回目の水星フライバイで撮影した画像3枚(ESA/BEPICOLOMBO/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO)

日欧共同の国際水星探査計画「BepiColombo(ベピコロンボ)」の探査機が、2023年6月19日に短時間のフライバイ(接近通過)を行った際に撮影した3枚の画像が公開された。

2018年10月に打ち上げられた同探査機の最終目的は水星軌道の周回だが、そのためには速度を大幅に落とす必要がある。現在、2025年12月5日の水星軌道進入に向け、太陽系内を周回する長い旅路を減速しながら進んでいる。

今回、水星の表面から約236kmまで接近した際、水星のさまざまな地形特性を捉えた画像を10枚撮影した。画像はモノクロで、解像度は1024×1024ピクセル(約1メガピクセル)だ。

欧州宇宙機関(ESA)のベピコロンボ探査機運用責任者、イグナシオ・クレリゴは「フライバイはすべてが順調に進み、近距離接近フェーズでモニタリング・カメラを使って撮影した画像が地上に送られてきました」と説明している。
ESA/BEPICOLOMBO/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO

ESA/BEPICOLOMBO/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO


1枚目の画像(上)には、ベピコロンボが水星の夜側から昇り、表面のクレーターと崖を観察しようとする様子が写っている。機体後部の高利得アンテナと本体の一部も見える。
ESA/BEPICOLOMBO/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO

ESA/BEPICOLOMBO/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO


2枚目の画像(上)では、水星の地形がよく見える。イタリア国立天体物理学研究所(INAF)のバレンティーナ・ガルッツィは「これは水星の地殻変動の歴史を学ぶために理想的な領域です」と語る。「ここに見られる断崖同士の複雑な相互作用は、水星が冷却されて収縮した際に、地表クラストを滑動させ、地形にさまざまな変化を与えたことを示しています。探査機が軌道に入った際にはさらに詳しく調べる予定です」 
ESA/BEPICOLOMBO/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO

ESA/BEPICOLOMBO/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO


ESA研究員で、ベピコロンボMCAMイメージング・チームのメンバーである惑星科学者のジャック・ライトは「クレーターだらけの水星の地表には、小惑星や彗星が衝突してきた46億年間の歴史が記録されています。これらは地殻変動と火山活動のユニークな特性と共に、太陽系の進化における水星の位置の秘密を解き明かす助けになるでしょう」と語った。

ESAと日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の共同ミッションであるベピコロンボは、ESAの水星表面探査機(MPO)とJAXAの水星磁気圏探査機「みお」を電気推進モジュール(MTM)に搭載して打ち上げられた。

前回の水星フライバイは2022年6月23日、次回は2024年9月だが、その前にミッション最大級の挑戦が待っている。「次の太陽電池による長時間の電気推進『スラスター・アーク』は、8月始めにスタートして9月中頃まで続く計画です」とクレリゴは語る。「スラスター・アークは、フライバイと相まって、ベピコロンボが水星軌道に進入する前に、太陽の巨大な引力にブレーキをかけるために極めて重要です」

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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