宇宙

2023.05.27

木星の火山衛星「イオ」最高の1枚、探査機ジュノー撮影

20年以上前に探査機ガリレオが撮影して以来の、ほぼ間違いなく最高といえるイオの画像。NASAの探査機ジュノーが2023年5月16日に51回目のフライバイで撮影(NASA/JPL-CALTECH/SWRI/MSSS/TED STRYK)

それは太陽系で最も火山活動が活発な天体に、探査機が最接近した時だった。

NASAの探査機、ジュノー(Juno)は、木星の衛星イオ(Io、英語の発音は「アイ・オー」に近い)からわずか3万5500kmの距離で一連の画像を撮影した。

木星が月に隠される珍しい木星食が北米で観測され、多くの天文写真家が撮影した大イベントのわずか数時間前のことだった。

イオは地球の月よりもわずかに大きく、常に木星の引力を受けているだけでなく、他の巨大衛星からも引っ張られている。その結果、火山から溶岩を吐き出し、その変化し続ける表面にあばたを残している。

「イオは、私たちの知る太陽系で最も火山活動の激しい天体です」とテキサス州サンアントニオのサウスウエスト・リサーチ・インスティテュート(SwRI)の主任研究員スコット・ボルトンはいう。「複数の経路から時間とともに観測することによって、火山の違いを知ることができます。どのくらいの頻度で噴火するか、どれほど明るく、どれほど熱いか、集団で繋がっているのか単独なのか、そして溶岩の流れの形状は変化するのか」

ジュノーはイオを撮影した最初のNASA探査機ではない。過去にボイジャー、カッシーニが土星への道中に、冥王星に向かったニューホライズンが複数のフライバイで、そして木星探査機ガリレオもイオを撮影している。しかし、今回の画像はこれまでで最高のものだ。

「ジュノーのミッションは、新たな驚くべき部分に入りつつあり、今後の軌道周回でますますイオに近づいていきます。この51回目の周回では、この拷問を受けているような衛星のこれまでで最も近くから撮った画像を届けられるでしょう」とボルトンがフライバイの前に話した。

イオを撮影した後、ジュノーは木星の北極へと急降下して巨大惑星を撮影し、南極を越えて楕円軌道のより遠い位置に戻る。
次ページ > 次の仕事は木星の薄い輪を調べること

翻訳=高橋信夫

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事