気候・環境

2023.06.29 07:30

「地球の限界」を知る ビジネスにとって科学が重要な理由

督 あかり

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地球委員会は、地球が繁栄するために必要な条件を数値化しました。

これらの閾値は、地球上のすべての生命の利益のために、地球を保護する役割を果たします。

科学雑誌ネイチャーは、地球委員会の調査結果を詳述した初の統合原稿を掲載しました。

そこで示された境界線は、生態系全体における生物多様性の喪失を減らすことを目的としています。

対策が講じられなければ、人類のウェルビーイング(幸福)を支える地球の能力は衰退の一途をたどることになります。本題についてWEFのアジェンダからご紹介します。(本記事はNature and Climateセンターの一部です。)


気候変動がもたらす最悪の影響を緩和することは急務であり、気候変動活動家の間で「プラネットBは存在しない」という言葉がよく聞かれるようになりました。もし失敗すれば、私たちの唯一の故郷である地球は、人類の生存にとって敵対的な存在になりかねません。

地球上のすべての生命の未来を確保するための限界を定量化するために、地球システムの惑星境界を策定した世界各国の科学者たちによって構成された、サステナビリティ・サイエンティストの世界最大のネットワークである地球委員会(EC)は、科学雑誌ネイチャーに、「グローバル・コモンズのための安全で公正な地球システム境界線 (Safe and Just Earth System Boundaries for the Global Commons)」を詳述した初の統合原稿を掲載すると発表しました。

そこで示された8つの境界線は、40人の科学者が4年かけて定義した「惑星境界線」の枠組みを更新したもので、「正義」を「安全」と同じ単位で統合しています。

「これは、地球の有限な限界と、人々と地球を守る方法を理解する上で、一歩進んだ変化となる」と、ECは述べています。

この新たな動きは、気候だけでなく、科学的根拠に基づく目標を策定するための新しい基礎を築くことになります。これらの目標は、安全で公正な事業環境を維持するために、政策立案者やビジネスリーダーに責任を負わせるのに役立つでしょう。

ユニリーバの前CEOで、「ネット・ポジティブ:勇気ある企業は、いかにして奪うより与えることで成功するのか (Net Positive: How Courageous Companies Thrive By Giving Than They Take)」の共著者であるポール・ポルマン氏は、次のように述べています。

「CEOにとって、人を中心に据えたアプローチをとることは、より野心的で緊急な目標を掲げ行動とっていることを意味します。研究に従い、私たちがすべきことを行うことは、より高いハードルを設定することを意味しますが、最終的には、すべての人にとってより良い、より安全な未来を築くための集団的な努力の中心にいるのは人間に焦点を当てるのが、本来あるべき形でしょう」
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文=Simon Torkington, Senior Writer, Forum Agenda; Gill Einhorn, Head, Innovation and Transformation, Centre for Nature and Climate, World Economic Forum

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