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2023.06.15 07:30

急成長する新興テクノロジーと、倫理的な課題

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新たに誕生するテクノロジーは、人類にとって大いなる希望であり、さまざまな機会を提供してくれる存在です。

新興テクノロジーは、プラスの変化をもたらす大きな可能性を秘めている一方で、人類が直面する複雑な危機に対しては新たな課題やジレンマを生み出します。

包摂的で責任あるアプローチをとることで、新興テクノロジーの力を危機への対処や危機の軽減に活かし、より強靭で公平な社会へのパラダイムシフトを実現できます。本題についてWEFのアジェンダからご紹介します。


世界中で技術革新が続く中、新たに誕生するテクノロジーは人類にとって大いなる希望であり、さまざまな機会を提供してくれる存在になっています。

新興テクノロジーはプラスの変化をもたらす多大な可能性を秘めていますが、その一方で、人類が直面する複雑な危機に対しては新たな課題やジレンマを生み出します。本稿では、新興テクノロジーと人類が直面する危機のダイナミックな関係にスポットを当て、そこから生じる機会と倫理的な課題を解説します。

大きな可能性を秘めた新興テクノロジー

AIとオートメーション

AI(人工知能)と自動化は、さまざまな産業において効率性、生産性、利便性を高めて革命をもたらす可能性を秘めています。

AI駆動システムには、反復作業の自動化、意思決定プロセスの改善、顧客体験の向上というメリットがあります。しかし、AIや自動化が普及すると、これまで人の手で行ってきた作業を機械が代替することになるため、雇用が奪われる懸念が生じます。

AI化や自動化に踏み出すのであれば、従業員のリスキリングやアップスキリングを積極的に実施する必要があります。従業員が新しい業務にスムーズに対応できるように配慮し、従業員のウェルビーイングや経済状況への影響を可能な限り抑えるようにしなければなりません。

IoT

IoTとは、日常にあるさまざまなモノをインターネットと接続して収集を可能にし、データの交換を効率的に行えるようにする仕組みを指します。多種多様なモノが相互に接続されている状態になれば、ヘルスケアや運輸、エネルギー管理などの幅広い分野で進化が起こる可能性があります。

しかし、IoT化されるモノが増えれば、データプライバシーやデータセキュリティの面での懸念も大きくなります。

IoT機器によってセンシティブな情報が大量に収集されると、サイバー攻撃や不正アクセスを受けるリスクが高まります。個人情報を保護するためのセキュリティ対策を強化し、安全かつ倫理的なIoT技術の活用を目指すことが重要です。

バイオテクノロジーと遺伝子工学

バイオテクノロジーと遺伝子工学はヘルスケア、農業、環境サステナビリティの向上において今までにない大きな可能性を秘めています。

例えば遺伝子組み換えには、農産物の増産、耐病性品種の開発、医療の進歩といったメリットが期待できます。しかし、遺伝子操作、バイオテクノロジー悪用の危険性や自然生態系の変化に起因する影響には倫理上の懸念が伴います。

例えば、食の領域では代替肉などのプラントベースフードが大きなブームを起こしています。その背景には、健康志向の高まりのほか、環境負荷の軽減や食肉の消費量削減に対する意識の高揚があります。代替肉のメリットは確かに大きいですが、その栄養摂取についての詳しい研究はまだ行われていません。

バイオテクノロジーの分野では、想定外の事態を防ぐとともに社会的信用を失わないために、イノベーションの追求と技術の責任ある利用とを両立させることが不可欠です。
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文=Smriti Kirubanandan, Global Director & Head, Strategic Marketing Healthcare and Lifesciences, Tata Consultancy Services

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