日本の価値を底上げする、海外市場と「逆輸入」

日本の企業が世界に出るとき足りないものは何か? そのひとつがコミュニケーション、つまり伝える内容や伝え方だとしたら、どうすれば乗り越えていけるのか?

未開拓の日本の可能性を世界と繋ぐことをミッションとするKitchen & Companyの代表・中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。

Vol.48配信は、前回に引き続き干ししいたけ専門問屋・杉本商店代表取締役社長の杉本和英がゲスト。60年間取引がある干し椎茸の生産者を守るため海外市場に挑戦して見えてきたのは、ストーリーが海外の消費者の心をつかむということだった。世界最高峰の品質を持つ干し椎茸産地を目指し、絶対に真似できない価値に磨きをかける。



中道:前回に引き続き宮崎の干ししいたけ専門問屋・杉本商店代表取締役社長の杉本和英さんをお迎えしています。杉本商店は1954年の創業以来、地元の椎茸農家さんが生産する椎茸を全部現金で買い取るというビジネスモデルを守り続けています。

椎茸の国内市場が縮小するなか、海外に目を向けてドイツやアメリカの展示会に進出。そこで海外の消費者が干し椎茸の背景にあるストーリーに関心を示したことから、自分たちが持っている本当の価値を知ることができたとうかがいました。3年ほど続いたコロナの影響はどうでしたか。

杉本:2020年から2021年にかけてECが非常に好調で、ちょっとしたコロナバブルでした。ただ商談がオンラインに変わったので、それに慣れるまでちょっと足踏みをした感じです。2022年から海外は動き出したので、対面の展示会に積極的に参加しています。

中道:前回触れられませんでしたけど、杉本さんは今も“椎茸の被り物”をされていますよね。展示会でもこのスタイルなんですか。

杉本:完全にこのスタイルです。人の心というのは驚きと感動でしか動かないんだなと肌で感じています。この椎茸頭を見て「うわ、すごい。これ何なの?!」と驚いて、椎茸を試食して感動してもらうというセットでやっています。

コロナ前は2020年の展示会が最後で、2022年に再開したのですが、そこでケータイの写真を見せにくる人がいたんです。「2020年の展示会であなたと一緒に写真を撮ったよ」って。この被り物はすごく有効なアイコンなんだと、その時よくわかりました。

中道:「椎茸 杉本」でのハッシュタグで検索結果に出てきそうですね。
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文=久野照美 写真=杉本商店 編集=鈴木奈央

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