働き方

2023.06.24 09:00

ベストセラー作家と働かないミニマリストが語る、1000円で始める「主体的生き方」

原田:昔に比べて多様な生き方が増えているし、知る機会も増えていますよね。まさにNATTYさんがそうですが、正規雇用に縛られない生き方や結婚しない生き方だってあります。私の場合、つい昔の感覚で小説を書いてしまって若い編集者さんから指摘されることがあるんですよ。給料について書いたら「今はもっと引かれる額が多いので手取りはもっと少なくなります」とか、出産を機に専業主婦になるといった話を書いたら「生活費を稼ぐために、今は仕事を続ける女性の方が多いです」とか……。

NATTY:自分が生まれ育った時代や環境を通して染みついた文化・風潮は、なかなか取り除けないですよね。僕自身も「ささやかな幸せを大切する」といった風潮の影響を受けて「今あるもので満足」などと言ってしまうことがあります。しかし、それってどこか自分に言い聞かせているような気がします。「平和な国に生まれたから幸せ」「周囲の人間に恵まれたから幸せ」など、地に足の着いた幸福を良しとする風潮が広がりすぎるのは問題かもしれません。もっと子どもの頃に抱いていたような、馬鹿げた夢でも後押しするような文化・風潮があってもいいと思います。

原田:若い人たちを中心に、もっと世の中に対して素直な意見が上がってもいい。その結果、社会全体の働き方・生き方が変化し、多様化へとつながっていくといいですよね。


原田ひ香◎作家。神奈川県出身。2005年、NHK創作ラジオドラマ脚本懸賞公募(現・創作ラジオドラマ大賞)で最優秀作受賞。2007年、『はじまらないティータイム』で第31回すばる文学賞を受賞し、小説家としての活動を開始。『ランチ酒』(祥伝社)、『三千円の使いかた』(中央公論新社)、『財布は踊る』(新潮社)、『図書館のお夜食』(ポプラ社)など著書多数。 

NATTY◎ミニマリスト、YouTuber。大阪府出身。商社や電気自動車メーカー「テスラ」の営業として勤務したのち、既存の労働にとらわれない「働かないミニマリスト」としての生活を始める。少ない労働時間で利益率を高める生き方を提唱し、今年5月には自身のノウハウを企業へと提供する会社「民間の労基」を友人とふたりで起業している。

文=松本晋平 写真=ヤン・ブース

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