経営者が座右の書とする漫画作品を紹介する連載「社長の偏愛漫画」。自身の人生観や経営哲学に影響を与えた漫画について、第一線で活躍するビジネスリーダーたちが熱く語ります。
第12回目は、ビザスク 日本共同代表の宮崎 雄が登場します。聞き手を務めるのは、漫画を愛してやまないTSUTAYAの名物企画人、栗俣力也。
title
働きマン
author
安野モヨコ
data
モーニングKC(全4巻)
Synopsis
部数60万部のドル箱雑誌「週刊JIDAI」で働く女性編集者・松方弘子のハードな日々を描く。実在する雑誌・週刊現代をモデルにしたリアルな作品は、連載開始とともに人気を博す。2006年にテレビアニメ化、07年には菅野美穂主演でテレビドラマ化。
栗俣力也(以下、栗俣):今回『働きマン』を選ばれた理由は何でしょうか。
宮崎雄(以下、宮崎):『働きマン』の連載が始まったのが2004年、私自身が社会人になったのは2006年です。ちょうど就職活動をする前ぐらいから連載が始まって、就職活動の合間にも読んでいました。完全に『働きマン』に影響を受けて就職活動の軸が決まっていく、みたいな感じでしたね。「働く」がテーマなので、人の感情が大きく動いたり、生きざまと連動していく様子を見ながら「働くことが人に与える影響はとても大きいんだな」と感じ、HR(human resources)領域が就職活動の一つの軸になりました。働くことに関して自分の中で思いが強くなっていき、「働く仕組みを変えてみたい」と思ってリクルートに入りました。
栗俣:初めて『働きマン』を読まれたときは、まだ『働きマン』に描かれているようなビジネス経験はされていなかった時期ですよね。第1話や第2話など最初のほうはどのような印象を受けましたか。
宮崎:自分も「こんなふうに働きたいな」と思いましたね。主人公・松方弘子の働き方はいま思うとかなり偏っている。当時は「あたしは仕事したなーーって思って死にたい」と言う彼女の気持ちに深く共感していましたが、仕事に向き合っていくなかで、その気持ちは次第に変化していきました。松方の後輩・田中邦男は「オレは『仕事しかない人生だった』。そんなふうに思って死ぬのはごめんですね」と冷めた目線。いま考えると田中のほうが自然体です。近年では、松方のような熱血系よりも、田中のほうが自然体と感じる若い人も多いかもしれません。いまの自分もそうですが、「仕事したな」と思う最期よりも「家族と充実した時間を過ごしたな」と満足しながら死にたい人もいるわけです。自分自身の現在のステータス、気持ちによって読むときに共感する部分が違ってくる作品だと思いますね。
栗俣:『働きマン』は各話ごとに中心人物を変えていく描き方をしています。主人公の松方以外で、お気に入りのキャラクターはいますか。
宮崎:松方の同期である、小太りで風俗とラーメンが好きな小林明です。