僕は、誰しもの知見が、誰かにとっては大きな価値があると強く信じています。ほかの人から見るとその知見自体がものすごい価値をもっていて、役に立ったり、新しいものを生み出したりするときに使える。そこに気づくシーンが少なすぎるだけなのではないかと思います。
たまたま彼は、松方と仕事をすることによって心が揺さぶられていきます。それと同じことを、僕らはビザスクでできたらいいなと思っています。
栗俣:千葉みたいな人って、日本の典型的なサラリーマンですよね。そういう人にとって、熱い気持ちを思い出させてくれる松方みたいな存在はいまの日本に絶対に必要ですよね。
宮崎:松方みたいな働き方がしたいわけではないけれど、松方みたいな存在ですよね。彼女も千葉に光を当てたいと思っているわけじゃない。励まそうなんて1ミリも思っていない。ビザスクも、自分の仕事に真剣に向き合う人が、結果的に誰かの知見を巻きこんでいって、巻きこまれたほうの心も動いて働く意欲が変わっていくのがメチャクチャおもしろいなと思っています。
栗俣:千葉真に対してもですけど、松方は編集長の心も揺さぶったりする。そういう引き金になる存在はすごくおもしろいですよね。
宮崎:ビザスクのミッションは「知見と、挑戦をつなぐ」です。松方は「世界一売れる雑誌を作る」という挑戦をしていて、そこに巻きこまれていく人の心が動いていく。事業も一緒で、本気でやろうと思っていない人に巻きこまれても、巻きこまれる側も打算的になってしまう。ビザスクのスポットコンサルでは1時間でもけっこういい謝礼をもらえたりします。そのために動くみたいな感じになりがちですが、依頼者が本気で来ると、アドバイザーも終わったあとに「あの事業は次どうなるのかな」みたいな気持ちにさせられる。そういう挑戦がどんどん起きるような、そういうことを起こしたい人が増えるようなサービスにしていきたいですね。
栗俣:宮崎さんにとって『働きマン』とはどのようなマンガですか。
宮崎:松方の働き方は自分の仕事観の一部にもなっています。「人が働くとはどういうことなんだろうか」と考えさせられるものでもあります。人生に大きな影響を与えてくれた本であることは間違いないです。これまで働いてきた十数年間は、『働きマン』が起点になっているのです。
【聞き手・企画協力】栗俣力也◎TSUTAYA IPプロデューサー。「TSUTAYA文庫」企画など販売企画からの売り伸ばしを得意とし、業界で「仕掛け番長」の異名をもつ。漫画レビュー連載や漫画原案なども手がける。