空中映画撮影を専門とする米制作会社JayByrd Films(ジェイバード・フィルムズ)の90秒の動画「Right Up Our Alley」では、その実力の一端を垣間見れる。ハリウッドでは、動きの速いアクションをすぐ近くで撮影できるシネフープが人気だ。マイケル・ベイ監督のアクション映画『アンビュランス』の壮大な映像撮影で、FPVドローンがどのように使われたかを紹介する特集動画も公開されている。
中国のドローン最大手DJIが開発した「DJI Avata」は、シネフープに新しい低価格帯製品の波をもたらした。テクノロジーブログEngadget(エンガジェット)のスティーブ・デント記者は、Avataについて「操縦性がすばらしく、他のドローンでは絶対に無理な場所でも飛ばせる。練習中のハンドボール選手の周り、両足の間、看板のっわずかな隙間、城の上、人々が集まっていたり壊れやすいものがある屋内などでも飛ばすことができた」「しかも頑丈だ。オープンプロペラ型ドローンなら即死状態の墜落を何度も耐えた」とレビューしている。
K8の仕様は不明だ。だが、サイバーラックスの専門分野を踏まえれば、雑然とした環境でも容易に飛行できる非常に機動性の高いシネフープ型ドローンの可能性が高い。他のドローンでは難しい深い森の中を飛んだり、建物の中に飛び込んで内部をくまなく探索したりできるのではないか。市街戦への応用はもちろん、ロシア軍の塹壕や地下壕に兵士より先に突入して危険物を一掃し、人命を守るといった活用法も大いに考えられる。単なる偵察機として使われることもあり得るが、他のFPVドローンと同様、最終的には市街地で探索から撃破まで行えるイスラエル製クアッドコプター「Lanius(ラニウス)」のように、爆弾を搭載することになるかもしれない。
既存のFPVクアッドコプターの利点は、低コストで入手しやすいことだった。Escadroneのドローン作製費は1機当たり500ドル(約7万円)以下だ。工場での大量生産により、さらに安価で効力の高いドローンが製造されるようになれば、ウクライナが備蓄しているとされる5万台のFPVは氷山の一角と化すだろう。
(forbes.com 原文)