独立した調査組織コンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)がSNSテレグラムで見つけた写真では、2M-3機関砲を搭載したMT-LB装甲牽引車2両が、ロシアが占領するウクライナのどこかで防御のための塹壕を掘る民間の掘削機を守っているように見える。
2M-3搭載のMT-LBは民間業者を後方上空からの攻撃から守るためのもののようだ。「これは、ロシア西部のベルゴロド州やブリャンスク州などで、塹壕を掘る作業員の上空にドローンが飛来し、手榴弾を投下する事例が数カ月前から確認されているためだろう」とCITは指摘している。
CITのアナリストは思い当たることがあるのかもしれない。ウクライナ南部のヘルソン州から東はドンバス地方、北はベルゴロド州の近くまで約965キロにおよぶ前線沿いで、ウクライナの砲兵やドローン操縦士は要塞を構築している軍や民間の掘削機を意図的に狙ってきた。
ウクライナ軍の反転攻勢を予想してロシア軍はここ数カ月、地雷を敷き、カミソリ鉄線を張り、塹壕を掘り、土手を築き、そして戦車の走行を妨げるコンクリート製の障害物「竜の歯」をあちこちに設置するなどしてきた。これは、ウクライナ軍の攻撃の速度を鈍らせ、その間、ロシア軍の援軍を攻撃地点に展開する時間を稼ぐことを意図している。
ウクライナは、ロシアがウクライナの反攻を予想することを見越していた。ウクライナ政府が同盟国に多くの特殊工兵車両を求めたのには理由がある。ドイツ、ノルウェー、英国、米国などは地雷除去用の装甲車、工兵車両、架橋戦車などをウクライナに供与した。
これらの車両は地雷を除去し、塹壕を埋め、土手を崩し、竜の歯を突き破ることができる。こうした作業は総合して「ブリーチング」と呼ばれる。ウクライナはフィンランドから6両のオールインワンタイプのブリーチング車両を受け取ってさえいる。