音楽のつくり手として教育に関わり続ける
江﨑氏は、これからも未来に多くの可能性を秘めた子どもたちに向けて、音楽の楽しさを直接伝える活動を広げていきたいと力を込めて語る。「僕は音楽創作に関わる『現場の人間』、あるいは『アーティスト』として、これからも教育に関わり続けたいと思っています。なぜならこれまでは、音楽を創ることの最前線に立つ人たちの声や姿勢が音楽教育に反映されることがなかったからです。現場の人間として、これからの学校教育の枠組みづくりに関われるのであれば、喜んでこの身を粉にするつもりです」
江﨑氏は今年の秋に、長野県音楽教育学会が主催する関音研特設委員会というイベントに登壇する。学校教育に携わる関係者に向けた講演、研究授業や授業研究会への参加も予定しているという。
音楽を自らの手でつくる体験を味わうことは、大人にとっても有意義であるはずだ。音楽教育に携わる教員もiPadによる音楽制作を学び、さまざまな気付きを得る機会が持てれば、音楽教育の形も江﨑氏の理想に少しずつ近付くかもしれない。江﨑氏のアートスクールを取材して、筆者もいつか生徒として参加してみたいと思った。
江﨑文武がどんな音楽家なのか? 興味を持った方はぜひ、彼の初めてのソロアルバム『はじまりの夜』を聴いてみてほしい。江﨑氏の人間性がリスナーの全身に、ゆっくりと染み渡るような聴き応えのある作品だ。通常のステレオ再生のほか、ドルビーアトモスによる空間オーディオを選択して立体的なサウンドが楽しめるApple Musicによるリスニングをおすすめしたい。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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