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2023.04.06

アップルはなぜ今もリアル店舗を大切にするのか?

アップルの直営店、ピープル担当シニアバイスプレジデントであるディアドラ・オブライエン氏氏

SNSで見つけた商品をECサイトで買うことが増えた。それはパソコンといった高額なものでも変わらない。コロナ禍も追い風となり、オンラインでの買い物は当たり前の行動になっている。

そんな状況においてもApple(アップル)は「リアル店舗」に力を入れ続けている。Apple Storeには他の店舗にはない「熱気」がある。報道などでもよく目にするように、新しいiPhoneの発売日や年始の初売りなど、現在も多くの人が集まり、大盛り上がりの中、スタートする。

Apple Storeにはなぜ「熱気」があるのか? 同社の直営店、ピープル担当シニアバイスプレジデントであるディアドラ・オブライエン氏にその理由を聞くことができた。

アップルが愛してやまない場所

グローバルに展開する企業では、国によって店舗の雰囲気やスタッフの対応が違うことも少なくない。同じ商品を販売するとはいえ、店舗で働くスタッフは文化的背景が異なっているため、その違いはどうしようもないところもあるだろう。

しかし、Apple Storeは、米国でも日本でももちろん他の国であってもその顧客体験は変わらない。私はこれまで米国、フランス、台湾、中国、日本のApple Storeに足を運んできたがスタッフが持つ熱量や接客のクオリティに違いを感じなかった。どの国の店舗でもオープン時には必ず行列ができるし、(日本では他で見ない)「ハイタッチ入店」も行われる。

「Apple Storeは、私たちも愛してやまない特別な場所です。私たちはアップルが誇る最高のプロダクトが集まる場所として、ストアと顧客体験を大切にしています。どれほど私たちが細部にまで心を砕いているか、Apple Storeに来ていただければわかっていただけるでしょう。来店の際、お客さまに『自分は受け入れられているんだ』と感じていただけること。そして試す、学ぶ、サポートを受けて最高の体験ができたと感じながらお帰りいただけることを私たちは目指しています」とオブライエン氏はいう。

オープン時は世界中どこでもハイタッチ入店で始まる

オープン時は世界中どこでもハイタッチ入店で始まる


さらにオブライエン氏は「大切にしているのは、顧客・ユーザーをすべての中心に据えるという精神で、人材はその鍵となるものです。世界中のどの店舗でも、スタッフは常に『お客様の生活をいかに豊かにするか』を考えています」と語る。

無料のワークショップが常に開催されている理由

Apple Storeは、ただモノを売るだけの場所ではない。体験を優先し、ユーザーに「学び」も提供している。この考えがわかる最たるものが「Today at Apple」だ。Today at Appleは、誰でも無料で受けることができるワークショップで、全世界のストアで毎日開催されている。

「アップルは、創業当初から人々の可能性を解き放ち、助けとなるプロダクトを作ってきました。創造性と生産性を高めるため、プロダクトをどう活用すべきか。そのポイントを伝えるのがApple Storeであり、象徴的な存在がToday at Appleです。ワークショップでは、写真、音楽、コード、イラストなど、さまざまな分野の新しいスキルを学べます」とオブライエン氏はいう。
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編集=安井克至

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