私の見立てでは、アップルが初のヘッドセットを普及させるための戦略として、次の3つの決断のいずれかを下した可能性がある。1つ目は、キラーアプリ(製品の普及させる上で目玉となるアプリケーション)を用意している可能性。2つ目は、既存の多くの利用方法をそれぞれ少しずつ改善した製品になっている可能性。そして3つ目は、自前では多くのコンテンツを提供せず、信頼の置けるサードパーティ開発者がヘッドセットの可能性を引き出すことを期待している可能性だ。
1つ目の可能性については、アップルが自社製ヘッドセットを「絶対買うべき」製品にする方法を生み出した可能性はあるものの、世界を席巻するようなキラーアプリを用意している可能性は低い。なにしろどのヘッドセットメーカーでも、アップルで働く人々と同じくらい賢い人たちが働いているのだ。
ヘッドセットには、複数の利用シーンがある。たとえば、複雑な機械を修理する際に使用すれば、本部のサポートチームが画面上に指示を表示させ、修理すべき場所矢印や強調で示すことができる。また建築家や不動産業者が建物を案内する際に使えば、顧客が購入予定の空間の感覚をより良く理解してもらうことができる。医療分野では、他のメーカーが開発したヘッドセットがすでに訓練の支援に使用されている。
ヘッドセットで最も重要な消費者向けアプリは、おそらくゲームだろう。だがアップルはお世辞にも、トップレベルのゲーム体験を実現する会社とは言えない。無論、ヘッドセットをゲームに統合するための開発者向けツールは提供されるだろう(『No Man's Sky』のようなゲームが看板タイトルとしてテクノロジーデモに使われるかもしれない)。