宇宙

2023.05.29 12:00

新発見の超新星「SN 2023ixf」、爆発は2000万年前

超新星。自ら崩壊する超巨星でその爆発は太陽の数百万倍のエネルギーを放出する(UNIVERSAL IMAGES GROUP VIA GETTY IMAGES)

超新星。自ら崩壊する超巨星でその爆発は太陽の数百万倍のエネルギーを放出する(UNIVERSAL IMAGES GROUP VIA GETTY IMAGES)

超新星2023ixfが北斗七星の近くに現れたことで、巨大な恒星の壮絶な死を見ようと、アマチュア天文家たちの望遠鏡は日没後の北の空へと向けられている。

私たちはまさに今、見ているが、実際に起きたのは2000万年前のこととなる。この「2000万年」は、SN 2023ixfが存在する風車銀河(M101)から超新星の光が地球に届くのに要する時間だ。存在するというより存在したというべきだろう。はるか昔に消えてしまったのだから。

超新星はめったに見ることができず、その観測時間はわずかだ。天の川銀河のオリオン座にある有名な赤色巨星で、2019年に奇妙な行動を始めたベテルギウスはいつ超新星として爆発するのか、多くの人が関心をよせている。しかしその答えは「10万年以内」とみんなを失望させるものだ。

私たちの実時間では稀少な宇宙事象でも、超新星は巨星にとって避けることができないステージだ。さらにこのステージは、地球に生命が存在する鍵となる理由であるとも考えられている。

超新星について知っておくべきことを以下に説明する。

超新星の定義

超新星爆発は大質量の超巨星による、銀河よりも明るく光ることができる最終かつセンセーショナルな自爆だ。瞬間的に最大恒星1000億個分の力を生み出すことができる。

恒星には、超新星になる運命を背負っているものがある。それ以外は決して超新星にならない。

爆発する星々

超新星になる恒星には2種類ある。SN 2023ixfは1番目のタイプで、コアが崩壊する高質量星だ。それが起きるためには、太陽の約8倍の大きさが必要だ。恒星がコア内の水素とヘリウムを使い果たすと酸素、炭素などのより重い元素は融合を始め、その結果密度を高め、ガスの層の中に鉄のコアを形成する。

支えきれない質量に達すると、反発力がエネルギーの爆発的放出を引き起こし、恒星のさまざまな層を宇宙に押し出す。それがII型(Type II)超新星であり、それがSN 2023ixfとなる。残されるのは巨大星の崩壊したコア、中性子星だけだ。これが今SN 2023ixfで起きていることだ。
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翻訳=高橋信夫

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