タイプIIaは連星系
もう1つのタイプの超新星である「タイプIIa」は、互いに周回し合う2つの白色矮星(死んでいく恒星の超高密度コア)からなる。その連星系の中で、両方の星は非常に近くにあるために、一方の水素が他方の表面に蓄積し、最終的に発火して新星爆発を起こすことがあると考えられている。その検出は困難なため現時点では理論上の話だが、これらの爆発が放つ重力波はNASAの来るべきレーザー干渉計宇宙アンテナ(Laser Interferometer Space Antenna、LISA)ミッションで検出できる見込みだ。画期的なミッションだが、打ち上げは2037年以降になる。Our first view of supernova #SN2023ixf in M101 pic.twitter.com/LdzzTgrlVF
— University of Hertfordshire Observatory (@BayfordburyObs) May 21, 2023
近地球超新星
地球からおよそ2000万光年離れているため、私たちにとってSN 2023ixfは一切、脅威ではない。一般に、超新星周囲の「キルゾーン」(殺傷能力圏)は約50光年と考えられている。その範囲内では、すべての惑星がオゾン層を破壊するガンマ線の影響下となり、太陽の紫外線放射が生命を絶滅させる。太陽系の近くで将来超新星になる可能性の高い恒星は、あのベテルギウスだが、距離は550光年以上離れている。そのため現在のところ人類は安全だ。ただし、過去には約170~320万年前および650~870万年前に地球が超新星の影響を受けた証拠がある。
生命をもたらすもの
宇宙スケールでは、超新星は生命への差し迫る脅威よりはるかに重要な意味を持つ。NASAによると、超新星爆発は星間物質(星々の間の空間)を加熱し、銀河全体に重い元素をばらまく。事実、生命に必要な重い元素の数々は、星の内部の核反応によって作られ、超新星爆発の間に宇宙へと放出された。宇宙で起きる最大の爆発、巨星の崩壊は、破壊的であると同時に創造的であり、私たちの世界が存在している理由でもある。だからSN 2023ixfになった恒星に悪感情を持たないでほしい。崩壊はそれぞれの星に刻まれた運命なのである。
(forbes.com 原文)