起業家

2023.05.25

インスタ創業者が出会った、スタンフォード「倍率10倍」のプログラム

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起業家精神とは、素早く動き、素早く変化を起こすことができることだと思います。私が興味をもっている気候変動に関しては、他に解決策がない以上、迅速に行動しなければなりません。

こうした思考の変化は、大学の雰囲気や友人からの刺激によってもたらされたものだと感じています。地元、アリゾナの友人と話すと、「ベンチャーキャピタル?よくわからない」となりますから。スタンフォードの起業文化の良し悪しはわかりませんが、少なくとも、学生たちが新たな選択肢を考えるきっかけになっていることはたしかです。

──周囲の学生の影響が大きいようですね。どんな学生生活を送っていますか?

スタンフォードの学生は、みんなめちゃくちゃ活動的です。ここでは「同じ寮に住む3人が、部屋で交わした会話から会社を立ち上げた」というような話をしばしば聞きます。日頃から地球規模の課題について、友だちとたくさん議論しています。もちろん学生らしい気軽な会話もありますよ。

忙しい人が多くて、スタンフォード大学の学生の間では、「誰かと会う約束をしても、半分の確率で相手は来ない」というジョークがあります(笑)

事実かどうかはさておき、それぐらいみんな予定がある、つまりエネルギッシュで活動的ということですね。

取材後記

私がスタンフォードに来て間もない頃に、キャンパス内のパーティーで、ひと際エネルギッシュに大人に混じって会話をしている学生に出会いました。私も少し話をしてみたところ、その優秀さに驚き、思わず「Forbes Japanの取材をしたいから連絡するね!」と言って別れました。それがジェシカさんです。

取材の後、「今日の夜も学生主催のピッチコンテストがありますよ!」と教えてもらい、行ってみました。賞金総額7万ドル(約950万円)のスポンサーがつき、9チームのピッチは学生とは思えないほどにレベルが高く、すごい熱気。審査員は、Yコンビネーターの社長、Metaのプロダクト部門長、VCの代表、100億円超の資金調達をしている起業家でした。

スタンフォードでは、ほとんどの学生がキャンパス内の寮に住んでいるため、眠らない街のようです。この日の帰り道にも、何かを熱心に作っている20名ほどの学生たちや、ディスカッション中の学生グループ、パーティーで踊っているグループなどが見られました。

一連の様子や交流から私は、「若者は、向かうべき未来を見据えたら、これほどまで熱心で一途になるのか」と驚き感動しました。ジェシカは明確にこう指摘していました。

「幸運のうちの半分は、適切なタイミングで適切な場所にいること。残りの半分は、そのチャンスを生かすことができる能力があることです。スタンフォードは、適切なタイミングと場所を与えてくれています。あとは自分次第です」

※この記事はジャーナリスト尾川真一(フルブライト奨学生)とともに取材しました。


ジェシカ・ヤン◎スタンフォード大学、学生起業クラブASESの元共同代表、2022年メイフィールドフェロー。スタンフォード大学文理学部(経済学専攻)4年生。2023年からスタンフォード大学工学大学院(エネルギー・環境専攻)進学予定。

文=芦澤美智子、尾川真一 編集=露原直人

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