スタンフォードに新設、サステナ学部が持つ「危なっかしさ」の神髄

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なぜスタンフォード大学から優れた起業家が生まれるのか──。
 
本連載では、現地に1年間滞在し、スタートアップ・エコシステム調査を行う芦澤美智子が、その内部の実態を探りお届けしていきます。
 
第5回は、日本で弁護士として再生可能エネルギーのプロジェクト・ファイナンスに従事していた小柏卓也(こがしわ・たくや)さん。2022年9月に新設されたサステナビリティ学部の授業も履修している小柏さんに、その内部の様子を聞きました。
 

──スタンフォードに来た経緯を教えてください。
 
日本での経験を生かし応用していこうと考え、先端的な環境・エネルギー法制を学べるであろう米国の法科大学院を受験しようと考えました。
 
スタンフォードに来ることを決めたのは、環境法分野にかなり早い段階から取り組む、世界トップクラスの法科大学院だから。それから、実はスタンフォードOBの事務所のパートナーから「スタンフォードはとにかく素晴らしいよ!(気候を含めて笑)」と聞かされていた影響も大きかったと思います。
 
──授業の様子を聞かせてください。
 
今は、法科大学院が開設している「LL.M.(Master of Laws)」の4コースのうち、Environmental Law and Policy(環境政策と法)プログラムで学んでいます。
 
入学して最初の学期に履修した授業は、

・ゼミ:ELPのメンバー約20人で構成される
・エナジーロー:電力・ガス等の伝統的な規制産業の公正な仕組み作りを中心に学ぶ
・アンダースタンドエナジー:エネルギーに関連する基礎的な知識を網羅的に学ぶ
・サステナブルファイナンス&インベストメントセミナー:サステナビリティの実現に関連するファイナンスを学ぶ
 
の4つです。
 
授業は楽しく、眠くなりません(笑)。指定された文献や動画を予習して授業に臨むことが前提で、授業はプレゼン技法の習得や、文献でカバーできない最新トピックの提供が中心です。各授業が比較的少人数なこともあり、教授の話の途中に学生が手を挙げて意見を言ったり、そこから活発な議論が始まったりすることも多々あります。

「危なっかしい」に全振り

──2022年9月にスタートした「サステナビリティ学部」の影響は?
 
法科大学院にもサステナビリティ学部の教授が来て話をしたり、一緒に食事をしたりすることもあります。学内でのセミナーも多く、スタンフォードが真剣に取り組もうとしていることが感じられます。
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文=芦澤美智子、尾川真一 編集=露原直人

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