ChatGPTで何が変わったのか? そして、なくなる仕事は何か?
コンテンツマーケティング事業を主軸として、SEOライティングツールの開発を行うEXIDEAの小川卓真CEO、大学院で消費者行動を研究したのち、高校講師、新聞記者を経てコンテンツマーケティングのエージェンシーを立ち上げたクマベイス田中森士CEOの両名に、ChatGPTについて、現時点での見立てを聞いた。インタビュアーはEXIDEA取締役CPOの曽根康司。
ChatGPTとは?
2022年11月に発表された「対話型人工知能」。Chat(会話)GPT(Generative Pre-trained Transformer )の略である。ChatGPTを運営するOpenAIのサイトには「Optimizing Language Models for Dialogue」(会話のための言語最適化モデル)と書かれている。質問に対して自然な文で返答するのが特徴である。また、プログラミングの質問に対して、コードを含めて返答もする。
OpenAIの出資者にはイーロン・マスクも名を連ね、先日の1月23日にはマイクロソフトがOpenAIに対して、複数年に渡って数十億ドルの投資をするパートナーシップ契約を結んだことでも話題になった。また、2月1日にはアクセスが集中した際にも優先的な応答をする月額20ドルのサブスクリプションプランを発表した。
注:本記事の起稿にChatGPTは使用していない。参照、出典は文末に記載
ベースは「自然言語処理モデル」GPT-3
──ChatGPTを含むAIの世界は、料理に似ていると思うことがあります。料理の大きな要素に「素材」「調理」「盛り付け」があります。これらをAIに置き換えると「素材=対象となるデータ」「調理=情報処理」「盛り付け=アウトプット」になるように思っています。ChatGPTはアウトプット、すなわち、出力された文章が読みやすく、自然な形で人間のアタマに入ってくるところが画期的だと感じているのですが、いかがでしょうか?
EXIDEA小川卓真CEO:まず「素材=対象となるデータ」のところから、お話しましょう。ChatGPTのベースになっているのはGPT-3(ジーピーティー・スリー)という「自然言語処理モデル」です。
GPT-3にはコモン・クロールと呼ばれるクローラ(データ収集のソフトウェア)によって集められた45テラバイト(ギガバイトの約1000倍)のデータなどから、使えそうなデータを残し、5000億トークン(単語の数え方)を利用していると言われています。
「調理=情報処理」に移ります。2017年に自然言語処理に適した新しい深層学習モデルが登場するという画期的な変化がありました。GPTのTの語源にもなっている「トランスフォーマー」と呼ばれるアーキテクチャが登場したのです。
例えば、「アップルが食べたい」「アップル本社に入った」「おいでアップル」と言ったときに、それぞれ、果物、会社名、ペットの名前だと分かるように、同じ「アップル」でも何を指しているのか、より正確に分かるようになりました。これは1750億の変数から導き出されています。GPT-3の前身のGPT-2では、変数が15億でした。情報処理のパターン、言い換えると調理の技の数が格段に増えたわけです。