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2023.05.11

米国SXSWで「新しいもの」が生まれる理由 日本人参加チームに聞く

SXSW2023

2023年3月、テキサス州オースティンで開催されたSXSW(サウスバイ・サウスウェスト)。10日にわたって開かれるこのイベントでは、音楽や映画、ビジネスにわたるまでのさまざまな展示が行われます。

なかでもデザイン性が高く、多くの人を集めていたのがCOLDRAW(コールドロー)です。SXSWでは「イノベーションアワード」という表彰部門があり、そのファイナリストとしてノミネートされていました。COLDRAWは、これまでにないノンアルコールドリンクの抽出機器を開発していて、茶葉や水などを入れると、わずか10分ほどでドリンクが作れてしまう優れものです。

そのメンバーの磯部洋子さんに、COLDRAWのこれまでの道のり、そしてSXSWについて話を聞きました。


SXSWの出会いで始まったプロジェクト

──COLDRAWについて教えてください。

ボタニカル素材本来の味わいや色彩をたった数分で抽出する、ノンアルコールドリンクのための新しいテクノロジーです。

「ソバーキュリアス(アルコールを飲めるけれど、飲まない選択をすること)」という世界的な潮流があるのをご存知でしょうか。そういった人たち(ソバキュリアン)の選択肢が少ないという課題に着目し、減圧抽出のノンアルドリンクを短時間で作れる機器を作って広めようとしています。



例えば、通常、水出しのお茶を作るには8時間ほどかかります。そこで缶入りの茶葉が流通しているのですが、それだと淹れたてのおいしさは失われてしまいます。COLDRAWは「淹れたてのお茶など、おいしいノンアルドリンクが手軽に作れますよ」というソリューションを提供しています。

──プロジェクトはいつからスタートしているのでしょうか

数年前のSXSWでの出会いがきっかけとなり、その後、いろいろなご縁もあってプロジェクトがスタートしました。SXSWのイベントに来ていたメンバーが、来場者と気軽に話をして「なんかやりたいね」と盛り上がる感じです。

COLDRAWは、代表者を決めないオープンプロジェクトの形態を取っています。次の4つがコラボしています。

sPods:COLDRAWの試作品を開発し、特許を取得。現在はプロダクト開発設計に加え、R&Dを実施
REDD:クリエイティブディレクションやコミュニケーションプランニング及び制作
MAVO∞:コールドローの元となる抽出技術、コールドローを利用したレシピ開発や料理とペアリングの研究
日本たばこ産業(JT):COLDRAWの研究開発支援、COLDRAWを活用した実証実験
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文=芦澤美智子 編集=露原直人

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