リコールが世間の注目を浴びると、一般の人々が製品やそのブランドに対する疑念や不安を抱き、販売する商品の安全性に対する企業の姿勢を疑問視するようになる。
最近もいくつかの製品リコールがあった。その中には、火災のリスクがあるとして13万2000台のジープ・チェロキーをリコールした自動車メーカーのステランティス、転倒やけがの危険性があるために220万台のエクササイズバイクをリコールしたフィットネス機器メーカーのペロトン、そして3月に製品をリコールしたナイフメーカーのガーバーが含まれる。
特に注目すべきは、ガーバーのリコールだ。AP通信によると、同社はリコールが始まった後も、米国内8州の小売業者に製品を出荷していた。
米国のリコールに関する連邦規則および報告義務は、食品医薬品局、消費者製品安全委員会、道路交通安全局など、どの政府機関が管轄しているかによって異なっている。
そして、世論への影響もある。世論の動きは通常、政府の官僚機構よりもはるかに速い。
リコール問題がもたらす影響
電子メールで取材に応じた米法律事務所マイケル&アソシエイツのベン・マイケル弁護士は「欠陥製品のリコールを実施しない企業は、訴訟で損害賠償責任を問われる可能性や、顧客の死傷に責任を負う可能性があり、社会的信用に深刻な打撃を受け、売り上げの減少につながる可能性がある」と指摘した。製品のリコールを拒否する企業は、既に悪い状況をさらに悪化させる可能性がある。たとえば、自動車部品サプライヤーのARCオートモーティブは現在、国家高速道路交通安全委員会(NHTSB)からエアバッグ6700万個のリコールを要求されたが、これに抵抗している。
米紙ワシントン・ポストは専門家の話として、このような要求は通常、実際のリコールにつながると指摘。だがARCオートモーティブはそれを拒否し、規制機関がその権限を越えていると非難しつつ、リコール要求の基盤となる中心的な結論を否定していると報じている。
同紙によれば、ARCのスティーブ・ゴールド製品完全性担当副社長は5月11日の回答書簡で、NHTSBのリコール要求はあまりにも広範である上、「仮定的なシナリオ」に基づいており、客観的な技術的または工学的な結論に基づいていないと主張している。
該当のエアバッグを100万台の車両に搭載しているゼネラルモーターズ(GM)は、ARCがリコール要求に従うのを待たず、「十分な警戒心から、そして顧客の安全を最優先事項と考えて」該当エアバッグをリコールすると発表。リコール対象となる車両を運転したくないオーナーに対しては、状況に応じて「送迎手段」も提供すると述べている。