ビジネス

2022.12.10

危機に直面するバレンシアガ、親会社ケリングが沈黙する理由とは

ケリングCEOのフランソワ・アンリ・ピノー(Photo by Laurent KOFFEL/Gamma-Rapho via Getty Images)

バレンシアガが広告を巡る問題で危機に陥り、謝罪してから3週間以上がたつ。人々の怒りの反応は素早く、そして厳しく、100年以上の歴史を持つブランドの将来を脅かしている。だが、このブランドを傘下に持つコングロマリット、仏ケリングは、いまだこの問題について沈黙を保っている。

バレンシアガが直面しているこの危機について、まずは11月中旬以降に起きたことを時系列で振り返ってみたい。

バレンシアガは16日、新たなキャンペーン用の写真を公開した。だが、ボンデージギアを付けたテディベアのぬいぐるみバッグを小さな女の子に持たせていたこと、別のバッグとともにデスクの上に置かれた書類が、児童ポルノに関する米連邦最高裁の判決に関するものだったことが問題視された。

児童の性的搾取にあたるとの批判を受け、バレンシアガは22日、テディベアの画像を取り下げて謝罪。その数時間後に再度、書類に関する謝罪文を発表すると同時に、広告の撮影用のセットの責任者に対し、法的措置を講じる考えを明らかにした。

インフルエンサーとしてバレンシアガに協力してきたセレブリティの一人、キム・カーダシアンが27日、「ブランドとの関係について再考する」との声明を発表した。

その翌日にはファッションメディア「ビジネス・オブ・ファッション」が、バレンシアガのクリエイティブ・ディレクター、デムナ・ヴァザリアに贈るとしていた「グローバル・ボイシズ・アワード」の授与を取り消した。

28日、バレンシアガのセドリック・シャルビット社長兼CEOが、一連の“重大な過ち”の責任は自社にあるとして、こうしたことが「二度と起こらないようにするため」の対策を講じる考えを明らかにした。

12月2日、シャルビットは広告について法的措置を講じるとの決定を取り消し、児童を保護する活動を行う団体に多額の寄付を行うと発表。ヴァザリアも同日、「子どもに関係のない商品を子どもに宣伝させたことは、不適切だった」とする“おかしな”謝罪文を公表した。
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編集=木内涼子

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