リコールの対象となるのは、2011年~14年モデルの「オプティマ」と2012年~14年モデルの「ソレント」、2011~13年モデルの「スポルテージ」、合わせて約61万8000台。
同じグループの現代自動車は2015年、エンジンに関する同じ問題で2011~12年モデルの「ソナタ」約47万台のリコールを実施。その後、同型のエンジンを搭載した2013~14年モデルの「サンタフェ」と「ソナタ」を対象に追加していた。
両社はすでに自主的にディーラーに持ち込んで修理を行い、代金を支払った対象モデルの所有者には払い戻しを行うと説明している。
問題のエンジンは製造過程で混入した金属片が適切に取り除かれておらず、そのため破片が油路を詰まらせ、高速での走行中にもエンジンが停止する可能性がある。ただし、これまでのところ「事故が発生したとの報告は受けていない」という。
対応に複数の問題
この問題に関連して、両社のモデルの所有者たちの一部は、すでに集団訴訟を起こしている。
訴訟を起こした起亜車の所有者たちは、現代が2015年にリコールを実施したエンジンと同型を搭載したモデルに関する起亜の「思いやりのない対応」対応に憤慨している。複数の規制当局に対して行われた苦情の申し立てによると、オーナーたちには高額の修理代が必要となった。
米ペンシルベニア州に住むオーナーの一人は、「起亜は2012年型のオプティマのエンジン(2.4リットル)に問題があることを把握していたにもかかわらず、何の対策も講じなかった。新しいエンジンへの交換には6000ドル(約67万円)が必要だった」と述べている。
NHTSAに提出された報告書の報告書によれば、起亜はエンジンの故障に関する苦情が増えたことから、昨年半ばまでに新車購入時に提供する保証期間を10年または走行距離12万マイル(約193km)にまで延長することで対応した。
ただし、この際には変更に関する通知の郵送先を間違うなどの不手際があった。また、保証期間中にエンジンの交換を依頼しても、適切な時期にオイル交換を行ったことを示す記録がないことを理由に拒否された顧客もいたという。
起亜が2015年にリコールを行わなかったのは、不具合が発覚した現代のモデルとは別の組立ラインで生産されていたことが理由だ。同社は報告書の中で、「消費者からのクレームは非常に少なかった」ため、リコールの必要性はないと判断していたと説明している。
だが、その後に改めて実施した調査の結果、この問題に関連した事故は発生していないことが確認できたものの、「予見可能なリスクに対する懸念」から、今年3月に入ってリコール実施が妥当であるとの判断に至ったという。