テスラ、110万台に対する衝突リスクの修正を中国当局に命じられる

テスラ・モデルY(Getty Images)

Tesla(テスラ)について、加速度に関する潜在的な問題をともなうニュースが飛び込んできた。ニューヨーク・タイムズ、AP通信、ブルームバーグ・ニュースなど、各種ニュースメディアが伝えるところによると、中国の安全規制当局は、テスラに対し、110万台の自動車をリコールするよう命じた。

リコールの対象となるのは、中国に輸入されたモデルS、X、3、さらに中国で製造されたモデルYと3だ。問題となっているのは、2019年1月12日から2023年4月24日までに製造されたこれらのモデルが、運転者がアクセルペダルを強くまたは長時間踏み込んだ際に適切な警告を提供しない可能性があることだ。このような強く長い踏み込みは良いことではない。なぜなら、そのような方法でアクセルを踏むと事故につながる可能性があるからだ。報道によると、テスラはこの問題への対応を5月29日からオンラインでのワイヤレスでソフトウェアアップデートを通じて開始する予定だという。

さて、テスラとTwitter(ツイッター)の両方を所有するイーロン・マスクは、この状況で「リコール」という言葉を使うことを問題視しているらしい。ブルームバーグ・ニュースの「Tesla Recalls Virtually Every Car It Has Sold in China(テスラが中国内で販売したほぼすべての車両がリコールに)」という記事のツイートに、誰かがツイッターのコミュニティノートをつけた。そのコミュニティノートは「記事のタイトルは誤解を招く。この『リコール』は、ワイヤレスでのソフトウェアアップデートであり、物理的なリコールではないからだ」と主張している。テスラ投資家であることをツイッターで公表しテスラ株の上昇を望む動機があるソーヤー・メリットが、このコミュニティノートを「コミュニティノートが再び勝利!」という言葉とともにさらにツイートしている。このメリットの投稿に対してマスクは「いつになったら彼らは学ぶのだろう……ため息が出る」とツイートで応答した。

さて、これは「マスクのため息はもっともだ、これを見て目が覚めた」と思うべきなのだろうか? それとも、ここで「リコール」という言葉の使い方を問うのは、単なる細部のこだわりに過ぎないと思うべきなのだろうか?

メリットの投稿には、実際にはどれほどの意味があったのだろうか? 今回のテスラの件で「リコール」という言葉を使うのは、本当に無意味なことだったのだろうか? では「リコール」という言葉をDictionary.comがどのように定義しているかを見てみよう。

ご存知のように「リコール」にはいくつかの定義があり、そのほとんどは今回の状況には適用されない。たとえば「思い出す能力や思い出す行為」という意味はおそらくここでは適切な定義ではない。なぜなら、中国の規制当局が正式に「テスラを思い出せ」と呼びかける理由はないからだ。この場合もっとも適切な定義は「製造業者やその他の機関が不良品、汚染品、安全でない品物などが発見された商品やすでに市場に出荷、または消費者に販売された製品の返却を求める呼びかけ」だろう。
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翻訳=酒匂寛

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