テスラ、110万台に対する衝突リスクの修正を中国当局に命じられる

テスラ・モデルY(Getty Images)

テスラモデルに欠陥、汚染、安全でないなどの問題があると当局が判断したのだろうか? その通り。当局が召喚状や命令を出したのだろうか? その通り。したがって、ここで起きていることは「ああ、テスラがソフトウェアアップデートを出すことにしたんだな」というだけの話ではない。これは、定期的に行われるWindows(ウィンドウズ)やApple(アップル)のiPhoneなどのアップデートとは異なる。テスラがソフトウェアアップデートを行ったのは、むしろ、当局から重大なリスクにつながる車の衝突リスクについて対応するように命じられたからだ。なので繰り返すが、ここで「リコール」という言葉を使うことに反論することは、細かいことにこだわっているだけなのではという疑問が浮かぶ。

生命を脅かす可能性のある製品の多くが、コンピュータソフトウェアやアルゴリズムに依存して機能するようになるにつれ、この種の議論は今後ますます増えてくると思われる。歴史的には「ソフトウェアアップデートが必要です」という言葉は「製品リコール」よりも柔らかい意味合いを持っていたかもしれない。これまでは、ソフトウェアのアップデートに健康面で依存することは少なかった。iPhoneで「あとで」を選択しても、iPhoneに顔を殴られるようなことは起きない。それに対して、車のブレーキや加速に影響を及ぼす可能性があるソフトウェアの不具合は、運転手だけでなく乗客や他のドライバーや歩行者に対しても、より直接的で緊急の健康リスクをもたらす可能性がある。

規制当局がテスラ車の問題点を指摘したのは、今回が初めてではない。ジェニー・グロスとクレア・フーは、ニューヨーク・タイムズの記事の中で、他の問題にも言及している。今年初め、中国の規制当局は、一部の輸入されたModel Sのボンネットが車が動いている最中に開く可能性があると指摘していた。また、今年初め、米国運輸省道路交通安全局は、テスラの「フルセルフドライビング」運転支援システムが、車両が法定速度を超え、交差点を 「違法または予測不可能な方法」で突破することで、事故のリスクを高める恐れがあると指摘した。さらに、テスラはその自動運転ソフトウェアに不満を持つドライバーからの訴訟にも直面している。

中国の安全規制当局が命じたこの「リコール」(あるいはマスクとテスラの投資家が呼びたい名前の何か)が、米国など他の国のテスラにどのような影響を与えるのか、また、他の国で販売されているテスラ車に同じソフトウェアの不具合があるのかどうかはまだ明らかではない。中国はテスラにとって重要な市場であることは明らかだ。中国からの収益は昨年180億ドル(約2兆4500億円)を超えており、よく言われるように金がモノをいうからだ。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事