エネルギー戦争のどの段階でも、プーチン大統領は自国経済の基盤である石油と天然ガスで財を成した新興財閥オリガルヒとともに公の場に姿を現すようにしていた。ロシアが苦境に陥ると、オリガルヒは背後に隠れ、軍事・安全保障のエリートであるシロビキ(ロシア語で文字どおり「力のある者」の意)が主役に躍り出た。
プーチン大統領は昨年3月の「揺るぎない団結」から今年3月には「利益より愛国心」を求めるようになり、国内の実業界のエリートとの結束を示すことには、もはや有用性を見出していないかもしれない。しかし、だからといってオリガルヒが重要でないというわけではない。欧米のほとんどの国への渡航を禁止され、オリガルヒは970億ドル(約13兆円)を失った。欧米の制裁はロシア経済に大きな打撃を与え、天然資源以外の分野で財を成したオリガルヒの中には、自身の命を危険にさらしながら公然と平和を呼び掛ける者も出てきたほどだ。
大物たちが影に隠れ、他のエリートたちがプーチン大統領を見捨てようと考えている時でも、ロシアの戦争遂行能力の基盤は、天然資源、核技術、武器輸出による収入と、これらの事業を営む同大統領の取り巻きたちであることを忘れてはならない。以下のリストは包括的なものにはほど遠いが、ここに出てくるオリガルヒがどのような人物で、ウクライナ侵攻にどのような反応を示したかを読者に紹介するものだ。
プーチン大統領の取り巻きはどこに隠れていて、誰が制度の隙間から抜け出しているのだろうか?