米カリフォルニア大学デービス校の呼吸器科医ケネス・ヨネダ名誉教授は「この研究は非常によく設計されている」「しかも、これが臨床的に理にかなっていることを示した」と評価しながらも「これが人間で実証されれば、臨床的に極めて重要な意義を持つだろう」と指摘した。マウスを使った実験というのが今回の研究の大きな限界ではあるものの、概念を明確に証明しており、人間に応用できないことを示唆するものは何もない。そのためには、今後の研究や試行が待たれる。
アジスロマイシンがある種のスーパー耐性菌に予想外の効果を発揮するように、古い医薬品の新たな用途を見つけることは、まさにCURE IDのような医薬品の用途を見直す研究の目標だ。CURE IDでは、従来の治療がうまくいかない患者に対して、臨床医がさまざまな医薬品を使った経験を報告している。経験から得た結果は、後の臨床試験の設計に役立てられることになる。
抗生物質耐性感染症により、米国だけで3万2000人以上、世界では127万人が死亡しており、新たな解決策が切実に求められている。
製薬会社は急性感染症市場を放棄しており、新たな抗生物質はほとんど見当たらない。利益を追求する製薬会社にとって抗生物質は、バイアグラやシアリス、脱毛対策のロゲインのような生活の質改善治療薬や慢性疾患治療薬ほどはもうからないためだ。このような中、メーアン教授のチームによる発見は、実に喜ばしい知らせだ。
(forbes.com 原文)