22日の発表によると、検査は「Elecsys Amyloid Plasma Panel(エレクシス・アミロイド・プラズマ・パネル)」と呼ばれ、アルツハイマー病の発症と関連のあるタンパク質の血中濃度を測定するもの。この検査のみで診断を可能とするものではなく、追加検査による確認が必要になるが、早期診断と最適な医療提供の一助になるとされる。
アルツハイマー病には、別のタイプの認知症と似た症状があるため、陰性の検査結果を得ることも有用だ。こうした検査により、アルツハイマー病の診断確定に必要な高額で侵襲的な検査を多くの人が受けなくてすむ。
ロシュ・ダイアグノスティクスのマット・サウスCEOは「ニーズが満たされていていないこのような分野でイーライリリーと共同開発できることを大変うれしく思う」と表明。「患者が診察を受ける道のりを合理化し、将来の治療法へのアクセスをスピードアップできる可能性がある」と説明した。
アルツハイマー病の完治が可能な治療法はまだ存在しておらず、病気の進行を遅らせる治療も最近までなかった。
米食品医薬品局(FDA)は2021年、バイオジェン社のアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」(商品名アデュヘルム)を承認。だがこの決定は議論となり、裏付けとなった臨床データや、FDAの承認手続きの順守をめぐる批判が上がった。
今年1月には、バイオジェンと日本のエーザイが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」(米国での商品名レケンビ)がFDAの迅速承認を受けたが、この薬を利用できる人はまだ限られている。FDAはレカネマブについて、7月に最終決定を下す見通しだ。
いずれの薬剤も、目的は病気の進行を遅らせることなので、認知機能をできる限り維持するためには早期発見が重要となる。
ロシュ・ダイアグノスティクスの幹部がロイター通信に語ったところによると、同社とイーライリリーは、共同開発する検査についての臨床試験データを2025年までに米規制当局に提出することを目指している。それまでに認知症の早期症状を示す被験者数百人を募り、データを集める予定だ。
(forbes.com 原文)