ブランド側も、そのようなサービスを提供しようと努力している。彼らはAIを活用してデータを素早く分析し、顧客データプラットフォームに投資してデータを整理・管理している。しかし問題は、何年もパーソナライゼーションとそれを支える技術を優先してきたにもかかわらず、企業と顧客の間に依然として隔たりがあることだ。その理由は何だろうか?
先日、Twilio(トゥイリオ)は年次の「パーソナライゼーションの現状」報告書を公開し、パーソナライズされた顧客体験(CX)を目指す競争における、いくつかの非常に現実的な問題を浮き彫りにした。具体的には以下ようなものだ。
・顧客はAIがデータを適切に管理できると信用していない
・ますます厳格になるプライバシー法が、データ収集をより困難にしている
・効果的なパーソナライゼーションがさらに困難になる一方で、それに対する顧客の期待は高まり続けている
以下では、トゥイリオの「パーソナライゼーションの現状」報告書からのいくつかのポイントと、今後のパーソナライゼーションに対して持つ意味を紹介する。
パーソナライゼーションとAIへの(過度な?)依存
生成型AIの登場により、AIはほとんどすべてのビジネスやマーケティングの話題の中心を急速に占めるようになっている。パーソナライゼーションに関しては、AIが今後もますます重要な役割を果たすことが予想される。多くのチャンネルで膨大なデータが収集されているため、AIを使わずにそれを有意義な顧客体験に活用することは、事実上不可能だ。実際、トゥイリオのレポートによれば、9割以上の企業が既にAIを活用したパーソナライズを行い、ビジネスの成長を加速させている。デジタル・トランスフォーメーションの領域において、生成型AIが比較的新しいものであることを考えると、これはかなり高い数字と言えるだろう。
同時に、約6割の顧客は、AIを使ったカスタマイズされた体験に対して抵抗感を持っていると答えている。これはAIが新しいということと、市場の混沌とした意見を示すものだ。AIによる体験が従来のCXを上回り、人間と機械のインタラクションに対する抵抗感が減少するにつれて、この状況は変わっていくと予想される。
また、レポートでは、消費者の49%が、ブランドが自分たちのデータを安全に保管し、責任を持って使用するとは信じていないことが明らかになった。これは、ITに対するビジネス支出が全体的に減速しているにもかかわらず、セキュリティへの投資を強化することを明確に求めているのだといえる。セキュリティは多くの企業にとって競争力の源となる。実際、過去に情報漏えいがあった企業は、信頼が損なわれたことから常に守りに回らざるを得ない。現代のマーケティングが個人データに大きく依存していることを考慮すると、顧客データを保護するためのセキュリティ投資は以前にも増して重要性を増しているのだ。