無理をしない。感情論をゼロにして、不平等感をなくすということです。
例えば「売上を上げろ」とだけ理不尽に言われても「頑張っているのに……」という気持ちになりますよね。そうではなく、売上が上がらない原因を因数分解して、「他人に比べて契約率がこれだけ低いから、その分アポをこれだけ増やさないといけない」という会話をすれば納得してもらえます。
逆にリターンに関しても、例えばストックオプションの時価が会社の業績、ひいては時価総額成長とともにどう変わるか、全て計算して提示しています。実際に現在の時価総額で言うと、合計で100億円以上のストックオプションを付与しています。
会社とメンバーはWinWinの関係で、会社にとって真っ当に頑張るメンバーが報われないと事業成長は継続しません。数字をベースに、無理をせず、従業員と真っ当に向き合うことこそが数値化の本質なのだと思います。
採用時は数字をベースに事実を包み隠さず伝える
──採用についてお聞かせください。どのようなことを意識されていますか?これも大前提は、とにかく優秀な人が採用できるまでたくさん会い続けることです。
例えば上場準備でCFOを採用するとき、70人くらいの会計士にお会いしています。その中で最も優秀だと思った人を採用し、その後管理部門を構築していきました。
──優秀な人を「口説く」際に意識されていることはありますか?
明確なメリットを提示することです。
弊社であればDX・AI技術によって全く無駄なくお客様に向き合い、課題解決をすることができる。不要な雑務は極限まで減らして、自分のバリューを最大限発揮できる。これを訴求していますし、実際に組織としても営業マンがお客様と向き合う活動に集中できる環境づくりを徹底しています。
あとは「自分が幸せでないとお客様の幸せを考えられない」とも思っているので、従業員が一番幸せに過ごせる環境づくりも意識しています。
従業員の幸せを要素分解すると「お金がある程度稼げる」「仕事にやりがいがある・職場が楽しい」「プライベートが充実している」の大きく3つ。この3つが均等に高レベルであることが大切で、「お金は稼げるけど残業多すぎてプライベートが壊れる」は幸せではありません。
あと、一般的な退職理由は大きく2つ。「お金を稼げない」と「入社前に聞いていた話と違う」です。
ですから、とにかく採用時に「事実を包み隠さず伝える」ことを徹底しています。採用時も入社のメリットを数字で事実のみ述べます。例えば信託型のストックオプションを約5%用意していること、なぜ信託型を選んでいるか、どれくらい成果を出せばどれくらいリターンが期待できるか、といったことを論拠をもとに説明する形です。
給与も不公平感は全くありません。M&A業界は営業成績が全てです。弊社の場合は上司の既得権益などもなく、長くいる人が有力な顧客を囲っていたり、上司へのインセンティブ配分が多かったりということは一切ありません。
誰かが損をする不公平感のある仕組みを絶対作らないこと。会社と従業員が必ずWinwinの関係で、リターンを透明性のあるロジックで用意する代わりに、バリューを出してもらうこと。
こういった姿勢が、結果的にフラットな組織につながると思っています。