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2023.05.07 09:00

クレジットカードに対抗するフィンテック「Plaid」の新たな挑戦

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顧客の銀行口座とフィンテックアプリを連携させるスタートアップ「Plaid(プレイド)」は、リアルタイムでの銀行間送金サービス「Transfer」をリリースした。このサービスにより、企業はローンや保険金、賃金の支払いを即座に行うことが可能になる。

Transferサービスは、主にフィンテック企業が銀行間で資金を移動させる際に役立つものだ。このプロダクトは、5年前から米国の大手銀行のコンソーシアムが運営しているRTP(Real Time Payments)ネットワークを利用し、即時送金を行っている。

米国では、RTP以前は数十年の歴史を持つACH(Automated Clearing House)を使ってすべての送金が行われていた。従来のACH送金が1~3日かかっていたところ、Transferであれば即時に送金が受け取れる。

プレイドの決済責任者のジョン・アンダーソンは、Transferが企業による保険や賃金の支払いに使われるだけでなく、個人ユーザーのショッピングの支払いに利用されることを期待している。

欧州やアジアでは「pay by bank」(預金口座から即時引落しによる決済)が普及しており、米国でも多くの人が利用するようになれば、クレジットカード・ネットワークから離れる消費者が増えるかもしれない。

クレジットカードの加盟店は、消費者がカードを使うたびにVisaやマスターカードに1~2%のインターチェンジフィーを支払わなければならないため、銀行口座から直接支払う消費者が増えることは歓迎すべきことだ。

「米国では、歴史的にクレジットカード決済が主流だった。しかし、他国で口座からの即時引き落としが普及している状況を考えると、スマホアプリを使って安全に送金する方法があれば、人々は銀行口座から直接支払うこと求め始めるだろう」とアンダーソンは話す。

銀行も対抗する構え

しかし、業界アナリストのトム・ノイスは、プレイドの取組みが大きな支持を得ることに懐疑的だ。その理由として、ノイスは銀行各社がフィンテック企業に対抗するために新製品をローンチしていることを挙げている。例えば、JPモルガン・チェースは昨年、マスターカードと提携して顧客が銀行口座から直接請求書支払いができる商品をリリースした。

「銀行はAPIを近代化しており、環境は変化している。彼らはストライプのようなインターフェースを構築するために買収を進めており、ペイメント・アズ・ア・サービスやバンキング・アズ・ア・サービスを自身で展開しようとしている」と、ノイスは指摘する。

Visaは、プレイドを53億ドルで買収しようと試みたが、米司法省が反トラスト法(独占禁止法)違反で訴訟を起こしたことを受け、2021年に計画を中止した。司法省は、Visaによるプレイドの買収は、カード処理事業における競合他社の参入を阻害すると主張した。

「プレイドとVisaの機能は相互に補完するものであり、競合するものではないため、裁判をしていれば勝利できたと確信している」と、当時VisaのCEOだったアル・ケリー(Al Kelly)は、買収を断念した後に述べていた。

加盟店がインターチェンジフィーを嫌っているにも関わらず、米国でデビットカードやクレジットカードが普及している大きな理由の1つは、リワードプログラムや不正利用防止策にある。

プレイドによるTransferサービスのリリースは、米国でもリアルタイム決済を提供する動きが活発化していることを示している。連邦準備制度理事会(FRB)は、2023年7月に「FedNow」と呼ばれる独自のリアルタイム決済サービスをリリースする予定だ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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