ファースト・リパブリック破綻で米地銀株が急落 危機の「伝染」不安収まらず

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米株式市場で1日、米地方銀行のファースト・リパブリック・バンクの経営破綻とJPモルガン・チェースによる買収が発表されてから数時間後、シチズンズ・ファイナンシャル・グループやPNCファイナンシャル・サービシズなど主な地銀の株価が軒並み急落した。相次ぐ地銀破綻は米国の銀行システム全体に「伝染」するのではないかという懸念がくすぶっている。

ファースト・リパブリックをめぐっては何度か救済策が試みられたものの実を結ばず、本社を構えるカリフォルニア州の金融当局が1日に同行を閉鎖した。管財人に指名された米連邦預金保険公社(FDIC)によると、米銀最大手のJPモルガンがファースト・リパブリックのすべての預金と大半の資産を引き継ぐことになった。

米国の地方銀行の破綻は3月のシリコンバレー銀行(SVB、本社カリフォルニア州サンタクララ)とシグネチャー・バンク(同ニューヨーク州ニューヨーク市)クに続いて3件目。米国の銀行破綻としてはSVBを上回り史上2番目の規模になった。

一連の発表を受けて、1日の米地銀株は総崩れとなった。シチズンズ銀行の親会社でロードアイランド州プロビデンスに本社を置くシチズンズ・ファイナンシャル・グループの株価は1日午前、6%強急落。ペンシルベニア州ピッツバーグを地盤とするPNCファイナンシャルの株価も6%近く下げた。

USバンコープ(本社ミネソタ州ミネアポリス)とトゥルイスト・ファイナンシャル(同ノースカロライナ州シャーロット)の株価もそれぞれ2.5%強下げたほか、UMBファイナンシャル(同ミズーリ州カンザス市)も4%あまり下落した。

一方、JPモルガンの株価は3%近く上昇し、年初来2番目の高値をつけた。

JPモルガンの発表によると、同行が引き取るファースト・リパブリックの預金は920億ドル(約12兆6000億円)にのぼる。うち300億ドルは3月半ばにJPモルガンなど米大手銀行が預け入れていたもの。ファースト・リパブリックの預金は、FDICの預金保険の上限25万ドル(約3400万円)を超える分も含めすべて保護されることになった。8州に計84店あったファースト・リパブリックの支店は1日にJPモルガンの支店として営業を再開する。

2カ月足らず前のSVBの破綻については、経営陣の判断ミスと米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの影響が原因と指摘されている。その数日後にはシグネチャー・バンクで取り付け騒ぎが起き、同行はニューヨーク州当局によって閉鎖された。そのころから、ほかの地銀にも銀行システム全体の問題として危機が伝染する懸念が出ていた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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