銀行は経済における金融システムを機能させるための「配管」を提供している。そうした目で見ると、この配管システムこそ保険をかけられるべきものであることが判然とする。
そうすれば、あらゆる規模や形態の法人に安定と信用をもたらし、米国のうらやましがられる大規模な金融システムでより公平な競争を促進することができる。
米国には現在、個人または団体の1口座あたり25万ドル(約3440万円)を上限とする預金保護制度があり、さまざまな方法で追加の保険がかけられているが、その中には合成的に作られたものもある。その他の預金はすべて保護されていない。
多くの銀行が最近注目してきたのは、主に法人口座が保有する保護されていない預金の比率だ。直近の銀行破綻を受けて、消費者や企業は資金を複数の金融機関に分散させるべき、あるいは資金を最大手の金融機関に預けた方が安全だと考える風潮が見受けられる。大手行に預けるというのは結局、大きすぎて潰せないという構造を補強する。中小銀行や地方銀行は預金の保険を広げるために実質的に仲介業者を利用する相互預金商品の使用で対応してきた。
最も残念なことは、こうした事態が業界の信用喪失につながったことだ。リアルタイムで情報を発信できるようになり、金の動きも速くなったことで、銀行の取り付け騒ぎが短時間に凝縮して起こった。他の銀行でも同様の影響が見られ、いくつかの地方銀行では大規模な預金流出が発生した。
信用を回復するために、業界の一部は連邦預金保険公社(FDIC)による預金の完全保護を求めている。この対応は極端から極端に振れる振り子だ。短期的には落ち着くことになるかもしれないが、一連の長期的な課題に直面することになり、無謀な競争者が出てくる可能性がある。
中小企業の経営者は雇用する従業員から、金を払って利用している業者、提供するサービスに至るまで、毎日、地域経済を活性化させている。中小企業が成長すればするほど、経済への影響も大きくなる。請求書の支払いや給与支払いなど日々の業務に銀行サービスを利用している企業は、金融システムが危機に瀕していることを疑うべきではない。
こうした企業の多くは平均残高が25万ドルを超えている。筆者は分割されたシステムが必要だと考えている。その1つが当座預金と呼ばれるもので、事業の日々の機能を支える資金が全額保護される。コアバンキングサービスを日常的に利用する事業主は当座預金に心配不要の資金を持つべきだ。
もし、余剰資金があってそれを利息が払われる口座に移せば、他の投資と同じようにリターンを得るために負うリスクがある。
現在、破綻騒ぎをきっかけに金融システムの信用についてさまざまな意見が飛び交っている。銀行業界の核となる要素を念頭に置き、銀行をサポートする解決策に取り組むことが重要だ。米経済の強さはその自由市場システムの多様性からきており、それはさまざまな規模の銀行によって支えられてきた。銀行の破綻がシステム全体でのパニックを引き起こしてはならない。究極的には、私たちの配管を支え、力を与える解決策が必要だ。
(forbes.com 原文)