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2023.05.10

営業も採用も「数字で語る」が必要 M&A総研の組織論

M&A総合研究所 代表取締役CEO佐上峻作

「DX・AIを駆使したテクノロジーによりM&A業界を変革する」をビジョンに掲げ、急成長を遂げるM&A総合研究所。創業3年9カ月で東証グロース市場への上場も果たし注目を集めている。同社代表取締役CEO佐上峻作氏が語る起業家の素養、事業成長のポイントとは?DIMENSIONビジネスプロデューサーの下平将人が聞いた。(全3話中2話)

第一話:3年9カ月で上場 M&A総研CEOが語る、起業家にとって重要な素養


──DXやAI技術を活用し、M&A仲介を効率化されています。この点が競争優位性だと思いますが、どのように差別化要素を構築したかお聞かせください。

AIの本質的な意味は「人が苦手とする部分の補填」だと思っています。

例えばアポイントリスト。これは人力でも出せますが、この時のデメリットは2つあります。それは「速度」と「抜け漏れ」です。こういった弱みをAIで補填していく。これが大前提にある考え方です。

これと同様に、提案営業した際に「相手の反応」を見て自分なりのロジックで、実際にM&A成約に至る可能性を予測すると思いますが、これは営業マンによって力量に差があります。私たちはこれをAIでやっていて、相手の反応をリスト化してAIで分析することで顧客有望度を自動で判断しています。

──それとともに、提案内容も精度が上がっていくということですね。

おっしゃる通りです。

例えばAという会社が売却を検討する際に、複数の譲受候補企業に提案をしますが、その結果をAIが学習し、精度を上げていきます。過去の提案実績などを人力でいちいち検索していては効率が悪い。我々の場合はAIがそこを補填するので、素早く良い提案をすることができます。

私たちの強みは大きく3つあります。1つ目は透明性の高い完全成功報酬制の料金体系を採用していること。上場企業では私たちだけです。2つ目は成約期間が平均6.6カ月と短いこと(2022年9月期実績)。他社は9~12カ月かかることも多いです。3つ目はマッチング力が非常に高いことです。

これが3つ揃っていると選ばれない理由が無く、結果的に急成長を実現しています。

また、同業他社からの転職者にアンケートを取ったところ、労働時間が27%減っているとの結果も出ました。優秀な人材の採用においても優位性がありますし、入社2年目以降のアドバイザーの平均年収2800万円超え。給与の高水準に維持しながらも、業界最高水準の営業利益率を確保しています。

私たちは創業1日目から本気でDX化を推進した結果、実際に利益を生み出すことができています。DXを「やり切る」ことができれば事業が成長することを私たちがこれからも証明し続けます。

「何事も数字」

──第一話では「数値的目標」を持つことの大切さを話されていましたね。

そうですね、私の経営スタイルは「何事も数字」です。

当社の取締役営業本部長である矢吹はキーエンス出身で、社内にもキーエンス出身者は多くいます。同社が持つ数字的プロセスや仕組みを取り入れながら、自社の事業やドメインに合わせてカスタマイズしています。

アポイント、商談、契約というフローの転換率といったKPIを個人単位でダッシュボード上で見られるようにしていて、その数字をベースに週次でミーティング。それをやりながらKPIを変動させてマネジメントしています。

ですから、当社には「数字」で語る文化が根付いています。
次ページ > 採用時は数字をベースに事実を包み隠さず伝える

文=下平将人 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc.

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