村上隆というメディア、アンラーンすべきこと
ここでベンワに私の悩みを相談してみた。悩みというのは、ベンワは日本に滞在してくれて日本の良さを発見してくれるからありがたいが、発見されない限り発信下手な日本のクリエイションは世界に見つけてもらえないのではないか、と。韓国はBTS然り、アーティストの国際ブランドに成功しており、直近のニュースだとNetflixの韓国コンテンツへの巨大出資なども話題だ。「村上隆氏は世界的に評価を得ており、世界の人々は彼の作品を見ることにより日本文化に興味を持ってくれています。そして村上隆氏の象徴的な花(MURAKAMI FLOWER) やその他多くの作品には日本の歴史や象徴、分析結果が集約されています。彼のような方をもっと称賛することが日本のコンテンツがより世界で成功することに繋がるのではないでしょうか?」
ここで、一度村上隆氏と別イベントでご一緒させていただいた際に、「日本のアニメ文化をアートとして販売し世界で成功していることに対して盗人猛々しいと批判される」と言っていた言葉を思い出した。悲しい事実である。日本画を学び、歴史を学び、アートだけではなくあらゆる分野のクリエイター(職人)を支えている村上隆氏 Kaikai Kikiという存在を重要なメディアとしてみんなで尊重していくようなマインドがあれば、BTS並の成功をもっと生み出していけるのだろう。
あらゆる所でアンラーニングが叫ばれているが、いらぬ嫉妬や村社会意識をアンラーンすることができると、日本のクリエイションはオタクマインドを持ちつつ経済としても大きな価値を持つのではないか?
RTFKTベンワが与えてくれた日本を見る視点
最後に、ベンワが今後コラボしてみたい日本人は誰か?聞いてみたところゲームクリエイターの小島秀夫氏の名前が出てきた。小島氏が手掛ける『デス・ストランディング』のファンであり、RTFKTが『デス・ストランディング2』の衣装デザインすることができたら最高と目を輝かせながら語っていた。そこからしばらく小島秀夫氏への愛に溢れる会話が続いたのだが、その様子をみていて、私達は本当に素晴らしいIPを生み出している国に生きていることに感動をした。村上隆氏、小島秀夫氏、スタジオトリガー、藍染職人、ウィッグデザイナーなど今回の取材では出てきたが、ベンワが紹介してくれたような日本のクリエイター一人ひとりを、あらゆる企業や個人も語りだしていくことができたら、日本のクリエイションは更に世界に広がり、日本に訪れたい人も増えてくるだろう。観光立国を目指す日本としてはまずは自分達の周りにある価値を改めて見つめ直す必要がある。その視点をベンワが与えてくれた。