アート

2023.05.11

RTFKTベンワ・パゴットに聞く新時代のアートとリテール

RTFKT × NIKE

その覚悟を裏付けるように彼らは初めての屋外広告を打ち出した。その場所が新宿東口、アルタ前の3Dサイネージだ。彼らが新商品として販売する「RTFKT×NIKE AIR FORCE 1」の広告だ。渋谷にもARを用いたポスターを張り出している。実際に新宿東口に行くと、そこには訪日外国人も含めて多くの方がこのサイネージをスマホから収録しており、人気の具合が伺える。この広告はNIKEのInstagramにもアップされているのだが、一週間で既に150万再生されている。 RTFKTはWeb3村を飛び出しマス・コミュニケーションの領域へ挑戦し始めている。



RTFKT × NIKE

RTFKT × NIKE


RTFKT × NIKE

RTFKT × NIKE

新しいオンライン購買体験の発明:Forge (フォージ)

ベンワの語るWeb3村を飛び出て市場に本格的に挑戦するRTFKTへの挑戦は3D/ARというテクノロジーだけにフォーカスするものではない。RTFKTはデジタルとフィジカルを融合したラグジュアリーなオンライン購買体験も発明し、世の中に広めている。それが「Forge(フォージ)」だ。

スニーカー、フーディー、Tシャツなど自分がほしいアイテムをNFTとして購入し、それを”フォージ”というプロセスを経ることにより、自宅に届けてもらえる。アイテムを選んでカートに入れる、だけの通常のオンライン購入体験と違い、購入時のプロセスにも映像演出が入り特別感を体験できし、何よりも自分が購入したものをNFTとしてもデジタル上で残せるのが今までのオンライン体験とは違う。

「メディア論」の中でマクルーハンは「皮膚の拡張としての衣服は、熱制御機構であるとともに、社会的に自己を規定する手段でもある」と語っているが、私達は現在身体の一部をデジタル上でも有している。デジタルアイデンティティーの自己証明のための手段をRTFKTの”フォージ”が高めているとも言えるだろう。

RTFKTの代表的PFP「CloneX」はVRMフォーマットを含む3Dファイルにアクセスできるのでデジタル上で自由にファッションアイテムの変更も可能だ。つまり、デジタル上のアイデンティー(PFP)と同じアイテムを身につけることができるのだ。再びマクルーハンに登場いただくが、彼は「テクノロジーが動物組織の拡張であるのと軌を一にする」と語る。テクノロジーが動物の生体組織の拡張であり、同じ軌道に沿って進んでいるという。いままではテクノロジーは私たち人間の隣を並行して進んでいたが、RTFKTのオンライン購買体験”フォージ”はテクノロジーと生体組織をデジタルファッションという文脈で融合させてくれている。
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