アート

2023.05.11

RTFKTベンワ・パゴットに聞く新時代のアートとリテール

RTFKT × NIKE

現代美術の登竜門GEISAI#22、リテール体験のアップデート

日本が誇るアーティスト村上隆氏とRTFKTは「CloneX」プロジェクトにおいてコラボをスタートしたが、上記「RTFKT×NIKE AIR FORCE 1」でも村上隆氏スペシャルの伝説のスニーカー、エアフォースワンを用いてコラボをしているが、彼らの間柄はプロダクトコラボだけにとどまらない。体験のコラボレーションも GEISAI#22にて行われた。

GEISAIは村上隆氏が始めた現代美術の世界への登竜門である。GEISAIの第一回目にあたる「芸術道場GP」(東京都現代美術館)は村上隆氏の個展『召喚するかドアを開けるか回復するか全滅するか』を訪れた際にあったことをぼんやりと覚えているのだが、当時は芸術祭を行う意味もわからず「なんか面白い作品が並んでいるなぁ」とだけの記憶であった。それが面白いことに自分が関心を持っているRTFKTが今年GEISAIに出展するという。日本の若手アートとデジタル体験の旗手であるRTFKTが組むとどのような体験となるのだろうか?

Courtesy of Bureau Betak - Set Design and Production by Bureau Betak

Courtesy of Bureau Betak - Set Design and Production by Bureau Betak


RTFKTのGEISAI#22での展示はBureau Betakが手掛けた。Betakはディオールやサンローランなどのファッション・ウィーク演出・展示なども手掛ける著名デザイナーだ。東京ビックサイト西ホールの一部を貸し切って、シャープな照明演出および”廃墟感のある”ディスプレイ構築で私達を異空間に誘ってくれる。「RTFKT×NIKE AIR FORCE 1」の展示とともに、高級なガチャマシーンのようなシステム”Minting Machine (ミンティングマシーン)”がエクスクルーシブなNFTも発行してくれる。

「このミンティングマシーンは、今後のRTFKTのリテール体験の第一歩となります。物理的な商品がアートとして展示されていますが、同時にデジタルバージョンも購入できる。そして、ホログラムボックスの中のAIアバターが店員として私達の購買体験を更に心地良いものへと演出してくれます。私は以前、リテールデザインの分野で働いていたので、新たな購買体験については長年アイディアを温めてきておりました。その第一歩をGEISAIで展示でき、来場者の反応をみて革新的アイディアへの手応えを感じました。」と、ベンワは語る。

Courtesy of Bureau Betak - Set Design and Production by Bureau Betak

Courtesy of Bureau Betak - Set Design and Production by Bureau Betak


かつてISSEY MIYAKEのパリファッション・ウィークに参加させてもらったことがあるのだが、それと同じような高揚感がデジタルとプロダクトの展示であっても感じられた。これがベンワが求めているデジタルでもフィジカルでも変わらない一貫性のあるラグジュアリー体験というものなのか、と肌で感じた。

本体であるGEISAI#22若手アーティスト達の審査にはRTFKTのファウンダー達も参加していた。ベンワは「尊敬するKaikai Kikiのアーティスト ミスターさんやくらやえみさんや村田森さんらと一緒に審査員を務めることができて大変光栄でした。そして、私は美術学校出身ですが、自分の経験では審査というものはとても硬い形式張ったものだったのが、芸祭の審査は非常に温かく、審査自体も楽しめるものが印象的だった」と語る。


村上隆氏に今回のRTFKTのGEISAI#22出展がどのように若手アーティスト達に影響を与えると思うか?聞いてみたところ、「自分自身の事でいっぱいいっぱいで、展示会が終わってしばらくしたら、あ!そういうことだったのかと気がつくのではないか。今は影響は起こりづらいと思う」と語る。
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