アート

2023.05.11

RTFKTベンワ・パゴットに聞く新時代のアートとリテール

RTFKT × NIKE

RTFKTは世界中にファンがいるので、新たな鑑賞者がGEISAI#22に訪れていた。RTFKT目当てにカリフォルニアからやってきたという方もいたのだが、彼もRTFKTブース終了後は、GEISAI#22ブースを巡っていた。他にもRTFKTのグッズを持っている人を多く見かけた。村上隆氏の著書「芸術闘争論」のなかで、海外顧客のために麻布に「Kaikai Kiki Gallery」を作ったと述べていたが、海外顧客が目指す場所としてGEISAIもなるのかもしれない(もうなっているのかもしれないが・・・)

Photo by RK (IG: @rkrkrk) ©︎2023 GEISAI実行委員会 ALL RIGHTS RESERVED.

Photo by RK (IG: @rkrkrk)(c)2023 GEISAI実行委員会 ALL RIGHTS RESERVED.


最先端デジタルの現場にいるからこそ伝統職人に学ぶべき

昨年ベンワに取材させてもらった際に、日本のアーティストの魅力を伝えてもらった。改めて今年も日本のクリエイティブの魅力を伺った。

「そもそも日本は世界最高峰の漫画やゲームのIPを生み出している国です。私自身小島秀夫さんを尊敬していますし、「サイバーパンク エッジランナーズ」を手掛けるスタジオ・トリガーも最高の作品を生み出していると思っています。

NFTという文脈でいうと、2022年までのスピーディーな投機的な波は落ち着き、もっとオタク的なものが求められるようになってきているので、より日本のアーティストたちが活躍できる場所が広がりそうです。

ちなみに、私が言うオタクとは、特定の創造性や文化について毎日考え続けられるほど、熱中している人という意味です。ギークであり、何かに情熱を持っていて、その文化の中で特別な価値があるものを大切にする姿勢は素晴らしいと思っています。私自身もアニメやゲームのオタクですし、私の友達には植物オタクもいます。

そして、日本のクリエイティブを語る際には、アニメやゲームの前に伝統的な職人達の生み出すものを欠かすことができません。私はフランス人で、フランスにも細部へのこだわりや職人技がたくさんあります。しかし、日本ではそれがさらに優れていると感じます。フランスと日本の人々が互いの国を訪れることが多いのも、そのためだと思います。

今回1カ月間日本に滞在しておりその際に、四国・徳島の藍染スタジオ「BUAISOU(ぶあいそう)」を訪れることができました。栽培から染色、衣類の仕上げまで、一連のプロセスを見ることができたこと、そして、職人技をどのようにしてクールでプレミアムなものに見せるかも学ぶことができました。

人々がこの職人技を引き継いでいくためには、それをクールなライフスタイルにし、プレミアムなものにする必要があります。フランスでも同じように、ワイン造りをよりエコにしようとする企業がたくさんあります。古風なものを、今日の世界にとって関連性のあるものにする方法を学ぶには伝統的な職人から学ぶのが良いです。

そして、デジタルクリエーションの最先端の世界にいる人間だからこそ、職人技や伝統を学ばなければならないと思っています。もうひとり、素晴らしいアーティストに会ったことを紹介させてください。ビョークのウィッグを制作するウィッグ・アーティストのTomi Kono氏です。

私に言わせるとTomi氏は髪の毛オタクです。伝統的なウィッグの制作や絵画、髪の毛の制作に何百時間も費やして作品を生み出しています。そしてビョークのような世界的な著名人と同様に、コンシューマー向けのプロダクトも作っています。異なるタイプの人向け、異なる価格の製品を、同じ技術、専門知識と情熱から生み出していることに尊敬を覚えます。私はTomi氏の作品を、RTFKTのデジタルファッションの一部として取り扱えたら素敵だと思っています。」
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