アートのマインドセットや方法論を他分野に活かす
最後に、タイラー・ホッブスが注目するテクノロジーと、今後の展望を伺った。ホッブス:おそらく最も魅力的で、アートに影響を与えるだろうと思われるのはAIだと思います。アートだけでなく、人生のあらゆる分野においても影響を与えてくれそうです。非常に強力なツールであり、新しい方法で物事を行うのに役立ちます。
また、柔軟性があるため、多くの異なることに適用することができます。これからたくさんの有名なAIアーティストが現れ、新しいツールや製品が生まれるでしょう。これによってまったく新しい形のアートが生まれると思います。私自身はAIを使っていませんが、それが非常に魅力的だと思い、他のアーティストがそのツールで何を創り出すかをいつも見ています。
私自身、今後挑戦していきたいことは、ジェネレーティブアートのマインドセットや方法論を新しい分野に適用する方法を編み出していきたいです。例えば、音楽、建築、ファッション、ダンスなどの分野でジェネレーティブアートのアプローチを使うとどのようなことが起きるのか?既に、ファッション業界の方や建築業界から連絡が来ているのですが、これらの業界とジェネレーティブアートを組み合わせると、全く新しいモノが生まれてくるのではないか?といまから大変興味深く考えております。
今回、森ビル等が参画する、一般社団法人新虎通りエリアマネジメントが企画し東京・虎ノ門で制作されたタイラー・ホッブスのミューラルのタイトルは「Two Lovers, in Structure」である。独特の色使いをあしらい抽象的な存在感のもと、二人の恋人が対話をしている。このミューラルの前に立ち、今回タイラー・ホッブスからもらった視点を反芻してみると、心がワクワクしてきた。
それはコンピューターによるジェネレーティブアートの新たな潮流と、タイラー・ホッブスのようなテクノロジー、ビジネス、アートを理解する存在がこれからの未来を作る仲間にいると感じることによるワクワクだ。
このタイラー・ホッブスのミューラルは、抽象的な存在感を持ちながらも、二人の恋人が対話をする美しい作品だ。この作品から得た視点は、コンピューターによるジェネレーティブアートの新たな潮流と、テクノロジー、ビジネス、アートを理解する存在が、未来を作る仲間として重要な存在であるということである。私たちは、この新たな時代において、常にチャレンジし、前進するために、お互いに支え合い、協力していくことが求められている。そうすれば、未来に向けて、さらに素晴らしい世界を作り上げることができるであろう。