ビジネス

2023.01.12

空気から飲料水、NASA発シャワー。テクノロジーで世界の課題解決に挑む「CES 2023レポート」

2023年1月5日〜8日までラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市、CES (コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)。3200社以上が出展したイベントには、日本からも多くの企業が参加。来場者は世界140カ国以上から11万人を越え、コロナ以降のテクノロジー系ビジネスカンファレンスとしては、最大級となった。

まるでコロナ前のような盛況ぶりとなった会場では、いよいよこれからウィズ・コロナでビジネスを再始動していくのだという、世界中の企業が放つエネルギーが感じられた。

さて、私はかれこれ11年ほどCESを定点観測しているのだが、今年のCESではこれまでより利他を意識した発言が多かったように感じる。例えば既存の顧客企業やユーザー以外の関係者を意識したプロダクト、企業理念などについての発表が多かった。

CES自体が掲げるテーマも、変化している。CESは今回初めて「Human Security for All(万人のための人間の安全保障 / HS4A)」に取り組む姿勢を発表。今後、国連の人間の安全保障基金、世界芸術科学アカデミーと共同で、食料安全保障や医療へのアクセス、個人の収入、環境保護、個人・コミュニティの安全などを育むグローバルキャンペーンを実施するという。



今回のCESで発表されたプロダクトにも、清潔な水へのアクセス、食料安全、持続可能なエネルギーソリューションなどの世界的な課題に取り組むものが多かった。環境問題、政情不安、不景気などの世界的課題を解決するイノベーティブなアイディアを展示する場所としても、CESが機能している。

確かにここ数年、私達は世界の政治家が掲げる自己中心的な発言に不安を覚えることが多い。そうした政治家に世界的な課題を全部任せるのではなく、民間企業と民間人が取り組めることを増やし、解決していく。そのための議論の場として、CESが機能するのは喜ばしいことである。

CES 2023には、Fortune 500にランキングしている企業の60%が参加したという。CESで世界的な課題を解決し、新たなビジネス成長の機会が生まれる流れができることを期待してやまない。

それでは今回のCESでは実際どのような世界的な課題に取り組むプロダクトが紹介されていたのか。今回は水に関するプロダクトにフォーカスし、私達日本人には何ができるのかという考察も合わせて紹介したい。
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文=西村真里子

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