DM63(M426)がどの程度の装甲を貫通できるかは距離と角度による。台湾軍はCM11戦車の105ミリ砲でDM63を使っているが、最大貫通力は600ミリで、これは1000~2000ヤード(約0.9〜1.8キロ)という典型的な戦闘距離での値と思われる。
最大貫通力600ミリはおそらくロシア軍のT-72戦車の正面装甲を貫通させるのに十分だろう。ロシア軍の最新のT-72B3戦車に対しては、DM63(M426)は戦車を実際に破壊することなく大きなダメージを与えるかもしれない。
だがエルビットは、DM63(M426)は「あらゆる戦闘距離で高い命中率と貫通力を持ち、最新の主力戦車を撃破することができる」と主張している。そしてエルビットはまたも砲弾を売ろうとしている。
DM63(M426)の代替はある。米国は機動砲車両に装弾筒付の砲弾M900を装備しており、これも厚さ600ミリの装甲を貫通できる。だがM900は劣化ウランでできており、米政府は政策上、最も緊密な関係にある同盟国にさえもこれを輸出していない。
米政府は今月、ウクライナ政府に量は不特定ながら105ミリ砲用の砲弾を提供することを約束した。その砲弾はおそらくM900ではなく、その次によいものだろう。米General Dynamics(ジェネラル・ダイナミクス)が輸出用に製造している装弾筒付のタングステンの砲弾だ。
同社のC76A1砲弾はフランスのNexter(ネクスター)が製造する似たようなM1060A2砲弾と同様、貫通する装甲の厚さはわずか400ミリだ。
最高のDM63(M426)砲弾と、性能で劣る代替の砲弾の違いは数百ミリの装甲貫通力だ。ウクライナ軍のレオパルト1やM-55Sとロシア軍の戦車が対峙する戦いではこの数百ミリが戦車の乗員の生死を分けるかもしれない。
だからこそ、ウクライナの同盟国がL7を搭載した戦車といっしょにどの砲弾を提供するかはかなり重要だ。もちろん、ロシアの諜報機関も我々と同様にウクライナでロシア軍の戦車がどのような状況に置かれているのかを知りたがっていることは間違いない。そのため、ウクライナが戦車の砲弾について多くの情報を進んで提供するとは思えない。
(forbes.com 原文)