しかしウクライナが欧州の同盟国から受け取るレオパルド2は71両、米国からのM1は31両に過ぎない。すべての機甲大隊に配備するには1000両以上の戦車が必要な軍隊に合わせても100両だ。
ウクライナ軍が所有する旧ソ連の戦車は現地で生産されたもの、現地での長期保管から引っ張り出してきたもの、ロシア軍から鹵獲(ろかく)したものなどだ。旧ソ連の戦車はウクライナ軍が現在最も多く保有している戦車であり、今後もそうあるべきだ。
だがウクライナはドイツ、オランダ、デンマークの連合から1980年代のレオパルト1を少なくとも100両受け取っている最中で、スロベニアからはM-55Sを28両すでに受け取った。レオパルト1とM-55Sは英国の王立軍需工場で製造された古いL7という小型で威力が劣る口径105ミリの戦車砲で武装している。
L7は1000ミリの鋼を貫通させることはできず、新型の120ミリ砲の性能には劣る。しかし適切な砲弾を使えば、120ミリ砲に近づけるかもしれない。
ただ、ウクライナがレオパルト1やM-55Sにどのような砲弾を使うつもりなのかはわからない。砲弾がすべての違いを生む。
M-55Sは1950年代後半に製造されたT-55戦車で、イスラエル企業のElbit(エルビット)が1990年代にスロベニア軍のために大幅に改良したものだ。同社は複数のスロベニア企業の協力を得てT-55にL7を装備し、現代的な昼夜使える光学機器と最新の射撃管制システムを導入した。そして反応装甲を追加し、エンジンも改良してアップグレードした。
ドイツ政府は昨秋、スロベニア政府に数十台の軍用トラックを提供し、それと引き換えに28両のM55Sをウクライナに譲渡するための資金を確保した。イスラエル政府がM55Sの取引に密かに同意した可能性は高い。そのため、そうしたM55Sがスロベニア軍に配備されていたときと同じDM63砲弾も譲渡に含まれていたというのはあり得ない話ではない。