始まりは製造業
米企業のオフショアリングは1970年代後半、ゼネラル・エレクトリック(GE)をはじめとする大手メーカーで始まった。1981年からGEのCEOを務めたジャック・ウェルチは、公開企業が第一に忠誠を尽くすべきなのは従業員ではなく株主だと考え、企業は最もコストの安い場所に業務を移転して経費節減と利益の最大化をはかるべきだと主張した。フォーブスは2011年の記事で、GEやキャタピラー、マイクロソフト、ウォルマートといった米国の多国籍企業が米国の全労働者の20%を雇用していると伝えている。これらの大企業は2000年代を通じて米国の従業員を290万人減らす一方、海外の従業員を240万人増やした。2009年時点で、大手企業が米国内で雇用する従業員が計2110万人だったのに対し、国外の従業員は1030万人にのぼっていた。
海外人材の活用支援サービスで加速
オフショアリングの動きは、世界中で仕事の移転を容易にするサービスを手がけ、資金力もあるスタートアップの登場によってさらに勢いづいている。Remote.com(リモート・ドット・コム)やDeel(ディール)は、国境を越えたリモートワーカーの採用やオンボーディング(組織になじむことの支援)、現地の税金やコンプライアンス(法令順守)の管理を請け負うサービスを展開している。Wellfound(ウェルファウンド、旧AngelList Talent)は、世界中のスタートアップと求職者をつなぐプラットフォームを運営する。
生成AIに仕事を奪われるおそれも
ゴールドマン・サックスは最近のリポートで、大きな話題になっているジェネレーティブAI(生成人工知能)について、今後活用が進めば欧米など先進国を中心に労働者は大きな影響を受けるとの見通しを示している。世界全体で3億人の仕事の全部または一部がAIに取って代わられる可能性があるという。AIによる自動化の影響を受けやすい職種としては、オフィス事務サポート、法務、建築・エンジニアリング、経営・金融業務、管理、販売、ヘルスケア、アート・デザインなどが挙げられている。
(forbes.com 原文)