Deelは、1月に120億ドル(約1.6兆円)の評価額で資金調達を行ったと発表したが、実際にラウンドを実施したのは2022年第2四半期のことだ。このラウンドについては昨年5月にAxiosが報じており、内容は3000万ドルの新株発行と、株式を保有する従業員の約2000万ドル分のセカンダリー取引だったという。ブアジズによると、この資金調達の主な目的は、故スティーブ・ジョブズの妻、ローレン・パウエル・ジョブズが創設した投資・慈善団体「エマーソン・コレクティブ(Emerson Collective)」を株主に加えることだったという。
「外部投資家に評価額の妥当性を認めてもらうことは、さまざまな面で役に立つ。エクイティの評価が高ければ、より多くの企業を買収することができる」と、ブアジズはいう。Deelは、今回の評価額を利用して、豪州の給与計算企業「PayGroup」を8300万ドルで買収するなど、複数のM&Aをすでに実行している。しかし、彼はエマーソン・コレクティブとの関係構築がなければ、資金調達を行うつもりはなかったという。
なぜならば、同社は過去にアンドリーセン・ホロウィッツやスパーク・キャピタルなどから調達した資金のうち、まだ5億ドル以上を手元に残しているからだ。ブアジズは、エマーソン・コレクティブの出資額についてはコメントを避けた。