働きすぎを嫌がる労働者が必要最小限の業務だけをこなす「静かな退職(Quiet Quitting)」の拡大版で、より受動攻撃性(パシッブアグレッシブ)の高いタイプだと考える人もいる。主要な締め切りを設けず、会議を行わず、受信メールのふるい分けもやらず、できる限り何もしないで憂鬱な月曜日を乗り切るのだ。一方、ワークライフバランスを保ち、燃え尽き症候群を予防するためのセルフケアの一種だと受け止める人もいる。
「労働者の間で広まっているこのトレンドは、パンデミックと大量離職の副作用と見ていいと思う。セルフケアを促進し、生産的な方法で働くことを可能にするからだ」と、人事管理ソリューションの世界的プロバイダーである米WorkForce Software(ワークフォース・ソフトウエア)のレズリー・ターナキー最高人事責任者(CHRO)は指摘する。BMMは雇用者と従業員の双方にとってメリットがあるものなのか、それともどちらか一方が勝ってもう一方は負けるトレンドなのだろうか。
職場の幸福度に関する専門家で、人材開発・組織コンサルティング会社Delivering Happiness(デリバリング・ハピネス)の最高経営責任者(CEO)であるジェン・リムは、BMMを実践しながら仕事に全力投球することは可能だと考えている。むしろBMMは、労働者が週初めに自分自身を優先することで、プレッシャーが取り除かれ、慣らし運転をするように1週間の勤務を開始でき、自身と会社にとって現実的な目標と期待の設定が可能になるアイデアだという。
「この3年間で私たちは非常に多くの変化、ストレス、不確実性を経験してきた。心(と体)はまだ、起きた出来事を処理しようとしているところだ」とリムは語った。「実のところ、こうした『新しい』トレンドはすべて、旧来の問題にリアルタイムな方法で光を当て、私たちの働き方がもはや誰にとっても機能していないことを確認しているにすぎない」