メンタルヘルスの改善・維持には「数人の親友」が不可欠

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「友情の危機」が叫ばれるようになっている。メンタルヘルスは人にとっても、ビジネスにとっても極めて重要なものだが、友人を作ること、友人関係や友情を維持することが「難しい」と感じる人が増えているという。

そして、そのメンタルヘルスの向上のカギを握っているのは「友情」だとみられている。精神状態を良好な状態に保つために私たちがすべきことは複数あるが、ほかの何より時間とエネルギーを注ぐべきものは、友人関係かもしれない。社会的つながりや社会的な支援、有意義な人間関係は、私たちにとって重要なものだ。

健康と長寿のカギ

米ブリガム・ヤング大学のジュリアン・ホルトランスタッド教授らの研究チームが行ったメタ分析の結果によると、健康(高血圧、心疾患、うつ病、がんを防ぐこと)のためには、食事や運動の習慣以上に、そして喫煙と同程度に「親しい友人が数人いること」が重要だという。

また、うつ病の症状の改善や死亡率の低下に友情が関連していることも、わかっている。スペインのバルセロナ大学が行った縦断的研究(長期の観察研究)によれば「孤立しておらず、孤独感がなく、社会的なつながりが強い」人ほど、うつ病や不安障害を経験する可能性が低くなるという。さらに驚くことに、友人は「家族以上に重要」と考えられという。

さらに、ミシガン州立大学の研究チームが約28万人を対象に行った調査では「友情」は「健康」と「幸福」どちらの程度を測定する場合においても、重要な要素になっているとみられる。特に高齢者にとっては、家族との関係以上に深く健康と関連していた。

「友情」と幸福感

興味深いことに、ある人が幸福感と良好なメンタルヘルスの状態を維持していることは、その人にとどまらず、周囲の人たちも同様の状態にさせるという。つまり、個人のメンタルヘルスが良好な状態であることには「ネットワーク効果」があるということになる。

「6次の隔たり」という言葉を聞いたことがある人もいるだろう。これは、直接つながりのない相手とも、間にいる「知り合いの知り合い」5人を介すれば、つながることになるという仮説だ。それと同じように、幸福も人と人の間でつながっていると考えられる。
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編集=木内涼子

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