働き方

2023.04.16 09:30

「最低限の仕事しかしない月曜日」は燃え尽き症候群を緩和するか

木村拓哉

ハッスルカルチャーと燃え尽き症候群

世界保健機関(WHO)は、パンデミックや社会的・政治的不安、不況、インフレ、日々激化する世界的な紛争が起きるより前に、燃え尽き症候群を「職業上の現象」と分類していた。リムはそれを指摘した上で、燃え尽き症候群に陥る人は過去最多となっており、仕事と生活の境界線が曖昧なところから浸透してきていると警告する。

Deloitte(デロイト)の調査では、労働者の77%が現在の職場で燃え尽き症候群を経験し、91%が手に負えないほどのストレスやフラストレーションを抱えて仕事の質が悪化したことがあり、83%が燃え尽き症候群のせいで人間関係に影響が出たと答えたという。

リムによれば、多忙を美徳とするハッスルカルチャーをこれまで多くの人が名誉の証とみなし、成功や幸運への足がかりと考えてきた。夜遅くまで長時間働き、全身全霊で仕事に打ち込み「常にオン」の姿勢を貫けば、成功への鍵が手に入ると約束されていたのだ。そして私たちは長年、高収入や肩書き、役員室を成功と同義として受け入れてきた。「しかし、2020年代に入ってハッスルカルチャーは突然止まった」とリムは語る。「静寂な空間で多くの人が、成功とは何か、本当に大切なものは何か、1日の貴重な時間を充実して過ごせているか、それとも給料をもらうために費やしているだけかを見つめ直すようになった」

「ハッスルカルチャーを否定することは、必ずしも怠惰ややる気のなさ、意欲や野心の欠如と同じではない。それは、心の健康を優先し、仕事のスケジュールに振り回されない、より良い人生を切り開く方法の1つなのだ」

管理職のためのヒント

チームにBMMを導入しようとする管理職への助言を求めたところ、リムは「人生や仕事で何が起きているのか、本当のことを話すべき時だ」と答えた。「メンタルヘルスは、仕事や生活の中で私たちがどんな態度を取っているかを示す大きな指標の1つ。最低限の月曜日を受け入れるのではなく、メンタルな月曜日を導入してみてはどうだろうか。週に1日だけ、自分自身を第一に考えるために、何か1つ違うことをしてみる。マインドフルネスや瞑想のひとときを取り入れるもよし、マッサージを受けたりその辺を散歩したりするのもよし。何がうまくいき、何がうまくいかないか試してほしい」

「自分自身をもっとよく知れば、自分のために行動できるようになる。そうすればトレンドにとらわれず、真に意味のある変化とは何かが見えてくる」
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編集=荻原藤緒

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